デジタル社会を生きるロールモデル
先日、職場の方から貸していただいたオードリー・タン(中国名:唐鳳)さんの著者「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」。台湾のデジタル担当大臣として、新型コロナ対策にデジタル技術を駆使し、マスク在庫管理システムを構築するなど台湾のコロナ感染抑止に大きく貢献したことでもご存知の方も多いのではないでしょうか。
この本にも書かれていますが、唐さんはトランスジェンダーで、13歳で中学校を中退し、15歳で起業されています。私たちが思うスタンダードな歩みから見ると、かなり異色であり、複雑なメンタリティの中で生きて来られたようにも思います。
しかし、本を読み進めると、唐さん本人は非常にご自身を俯瞰的かつ冷静に捉え、自分の手で人生を切り拓いています。既成概念に囚われず、行動し、可能性を拡げている、自身の考えは忖度なく相手に伝える− 一貫してあるのは、「共好(ゴンハオ):お互いに交流し、共通の価値を探し出す」という価値観。唐さんは目の前を事象をこの価値観に適うものかどうか、或いはそうなるように物事を交渉・調整する力があります。
唐さんは現在、デジタル担当大臣としてご活躍されていますが、よく行政機関で起こり得る部署間に跨がる課題に対し、異なる価値観を集約させるためには、「他人から学び、考える」ということを謙虚に行っていかなければならないとも言っています。
また本書では、人間とAIの関係性をドラえもんとのび太くんの関係性のようなものと表しているところは非常に面白く、よく言われる「AIに仕事を奪われる」のではなく、「AIは共存できる良きパートナーになり得る」可能性を感じられます。
地域、性別、価値観を超えて、より複雑さの増すこれからの国際社会において、個人の生き方にとっても、そして民主主義国家がデジタルを活かしていかに課題解決していくか、その在り方にとっても、参考になる一冊でした。
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