JOL2022-1 タグバヌワ文字 解説
日本言語学オリンピック2022
第1問.タグバヌワ文字
ジャンル:文字
難易度:☆2
目標解答時間:10分
問題・解答は 過去問・資料まとめ より引用。
文字対応
パッと見では掴みどころが無さそうです。とりあえずそれっぽく音節に分けていきます。3音節なのは、選択肢aとcの2個のみです。また、タグバヌワ文字で書かれた語のうち3文字なのは、語群6と7の2個のみです。この2個と2個がペアになっていると決め打ちします。
となると問題は、どちらがどちらに対応するかです。 特徴的なものから考えるのがセオリー。 選択肢aは同じ母音uを2個含むので、そちらから先に検討します。 語群6と7で同じ文字はないように思われますが、 語群6には(上から)1文字目と2文字目の右下に「>」のような記号が存在しています。 これが母音uを表しているのではないかと仮説を立てます。 この仮説が正しいとすると、 タグバヌワ文字は下から上の方向に向かって読むことになります。 珍しい気もしますが、 割とありふれたことかもしれません。
そして母音uの標識が文字の右下の「>」チックな記号だとすると、 他の母音も同様に標識されていると考えるのが自然です。母音aには標識が無く、 母音iは文字の上に標識するようです (あくまで、選択肢aと語群6がペア、選択肢cと語群7がペアだとする仮定の下での話)。 さらに、残った文字本体のうねうねが子音を表していると考えます。
ここまで行けばあとは仮説を検証するだけです。 これはメモ書きなのでちゃんとは書きませんが、 仮説が正しかったことがわかります (音節末の"n"と"ng"に対応する文字がないようですが、細かいことを気にしてはいけません)。
2音節目と3音節目が共通する選択肢dから検討する手もあります。 こうすると選択肢dが語群9と対応するとほぼ間違いなく断言できますが、 この場合は文字を読む方向が分からずにドツボにはまる可能性があります。 いろんなアプローチを検討できるようにしたいですね。
総評
全体の平均点は10.03点、標準偏差は7.96点。文字を下から上の方向に読むことと母音標識の2つのカラクリが分かれば20点取れる(逆に言えば分からなければ宝くじの)オール・オア・ナッシングな問題です。
得点開示を見ると選抜枠・オープン枠ともに銅賞以上受賞者はこの問題をほとんど落としていません。
第4問、第5問が猛威を振るい過去最難だとも称される(私がJOLを受けるのはJOL2022が初めてだったので、実際に最難なのかどうかは分からない)JOL2022のセットの中では、ここを取るしかないでしょう。