【実話怪談】家にいつもいる人
友人はエレベーターのあるビルのような家に住んでいる。
広い家のため、日中はタイ人のお手伝いさんに家事や掃除をサポートしてもらっている。その方は細かいところまで気づく女性で、長いことお願いをしており友人一家とも良好な関係を築いていた。
平日の昼間は旦那さんは仕事、子どもたちは学校に行っているため、友人とお手伝いさんの二人っきりとなることが多かった。
その彼女が最近、友人が日中出かけることを、はっきりとは言わないが嫌がるようになった。いつ頃帰るのか、早目に帰って来て欲しいなどと言うのだ。
理由を聞いても口を濁すばかりで要領を得ないが、しつこく聞いているうちについに打ち明けてくれた。
「家の中に女の人がいる、怖いから一人にしないで」と。
その女性は何かをするでもなくただ家の中におり、気づくと部屋中いろいろなところへ移動しているが、エレベーターの中にいることが多いらしい。
タイ人のお手伝いさんは、昔から外を歩いているとその類の者を目にすることが度々あったが、家の中にいるのは不気味であり、ましてや二人っきになるは我慢がならないと訴えた。
それを聞き震え上がった友人は、馬鹿にされるのではないかと悩みはしたが、やはりいてもたってもいられず旦那に相談した。
すると旦那は「いたとしても、うちの商売はうまくいっているし悪い者ではないのではないか?」と。
それを聞いた友人も「確かに。」と思い、それ以来気にしなくなった。