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広告メッセージから企業戦略を分析してみた

こんにちは。沖縄のインハウスマーケター@普久原です。

今年も元旦広告は盛り上がっていましたね、色々な企業の意気込みや想い、2021年のビジョンが垣間見えたような気がして、とても楽しませてもらいました。

さて、そんな数多ある元旦広告の中から、今回は「株式会社宣伝会議」の広告メッセージに秘められている背景を読み解き、2021年の戦略を考えてみました。

そもそも、元旦広告って何だろう?

企業のブランドメッセージやこの1年の事業戦略におけるメッセージを集約して伝えるもの、企業の抱負みたいなもの?と個人的には認識しています。
※過去10年分の元旦広告をまとめているこのnoteはとても読みごたえがあります。

そもそも、「株式会社宣伝会議」ってどんな会社だろう?

株式会社宣伝会議(せんでんかいぎ)は、宣伝・広告・環境に関する雑誌、新聞、書籍を出版する出版社であり、日本で初めて広告専門誌を創刊しています。コピーライター養成講座などの教育事業も展開しています。

事業内容は5つの領域(①雑誌・Web、②アワード、➂イベント・セミナー、④教育講座・研修、⑤書籍・年鑑)に分かれていて、今年の広告はその中の教育講座・研修事業にあたる「宣伝会議教育講座」を広告で掲載しています。

宣伝会議の広告メッセージ

世の中に
「問題」があるときこそ、
マーケティングと
クリエイティブの出番です。
目の前に問題がある。そのハードルをどうにかして乗りこえようとする。
「マーケティングとクリエイティブ」のスキルは、数々の難問と出会うごとに、鍛えられ磨かれ進歩してきました。
そんな知見が、いまだかつてないほど社会全体から求められているとき。
宣伝会議は、どこからでも受講できる「オンライン講座」により一層の力を注いでいきます。
規模の大小を問わず、あらゆる企業とひとが「経済を動かす、状況を変えてゆく」知恵を自らのものにして、
新たな成長に踏み出せるように。2021年、いくつもの学びと気づきを日本中に届けていきます。

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シンプルで渋いメッセージです。

広告メッセージの狙いを考える

では、シンプルで渋いメッセージに秘められている狙いを考えます。

この広告の狙いとはターゲットの気持ちを「自己鍛錬をやりたいなぁ」から「自己鍛錬をやらなきゃいけない」に変化させる事だったのではないかと思います。

では、何故このメッセージに至ったのか?宣伝会議を取り巻く様々な環境を分析しながら整理していきます。

教育産業を取り巻く市場背景の整理してみる

まずはPEST分析を用いて、宣伝会議の「教育講座・研修」市場の外部環境を整理しました。

政治:令和三年から高年齢者雇用安定法の改正され70歳までの就業機会確保が企業の努力義務になる
経済:雇用調整助成金の特例拡充
社会:コロナの流行により在宅勤務が活発化
技術:オンラインでのコミュニケーションインフラが整備されてきた(ZOOM、Meetなど)

この中から僕が注目したのは二点。

①法改正により仕事に活かせるスキルを磨きたいという意識が高まった
②在宅勤務の活発化によりオンラインでのコミュニケーションインフラが整備された

プロダクトと広告訴求の関連性を考える

続いて4P分析を用いて、プロダクトと広告訴求の関連性を考えました。

製品:コピーライター養成講座、コピーライティングスキルが身につく※一流のコピーライターが直接指導する付加価値あり
価格:約¥ 160,000(競合(月々¥ 1,650程度で使い放題)と比較して割高)
流通:基本オフライン(一部オンラインも対応?)
販促:ウェブサイトや自社で発行している誌面媒体

競合と比較して、流通の部分(オンライン講座やライブ配信など)で後れを取っていると感じましたが、この広告はなぜかその部分を強調しているように見えます。

なぜそこを強調しているのか?という疑問が残りましたが、数日後にその回答がウェブ上に掲載されていました、その内容は最後にまとめます。

全面広告掲載の背景を整理すると

コロナの流行による在宅の活発化とオンラインコミュニティのインフラが整備されたという外部環境の変化、そして法改正により仕事に活かせるスキルを磨きたいというターゲット(ビジネスパーソン)の意識変化、その2つの変化に対して「オンライン講座の強化」を訴求する事が、自社が提供できる最適なソリューションだと考えて、広告掲載に至ったと考えます。

2021年の宣伝会議の戦略分析

元旦から2週間後の1/14に、以下の内容でコピーライター養成講座がオンラインのみでも受講可能になる事が発表されていて「なぜオンライン講座を広告で強調していたのか?」の疑問が晴れました。

"【2021年1月14日(木)決定:オンラインのみでも受講可能に!
昨今の社会環境の変化をふまえ、21年2月開講のコピーライター養成講座は講義ごとの【オンライン・オフラインの自由選択制】に。
「講義会場や移動中の感染が心配...」「都心から離れていて、毎週は通えない」「会社に外出を止められている」方も、もう大丈夫。
体調がすぐれないときも、リモートでの参加なら安心です。
北海道から沖縄の方まで、皆さまのご参加を待ちしています!"
引用元:宣伝会議オンライン
https://www.sendenkaigi.com/class/detail/copywriter_kiso.php?

恐らく、宣伝会議としてもフルオンライン化やライブ配信といった部分の強化が必要であると感じていて、2021年からオンラインのみでも受講可能にするという施策が決まっていたと思います。

その施策のインパクトを出すために元旦広告を活用して”「オンライン講座」により一層力を注いでいきます。”という宣言をしたのではないでしょうか。

2021年は今まで競合に遅れをとっていた「オンライン講座」という土俵にあがり「長い歴史」と「実績」という武器で戦っていくんだという強い意志を感じました。

最後に

いかがだったでしょうか?ターゲットの理解やポジショニングなど甘い部分はありますが、何とか形にはなったのかと思います。
※STPや3Cも一応やってみたんですが、うまくまとまらなかったので割愛させていただきました...

それでは、皆さんお疲れ様でした。

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