「Tsu-ki」 たきしめし君の衣のたちばなの香を五月の恋とこそ知れ なよ竹のあなたが月を見て「つき」というくちびるのかたちいとおし 決して咲くことのない花を手渡して 百年待てますか と問う おだやかに語尾がほどけていくように 佳宵 あなたと星をかぞえた 遠い約束だったかもしれないね、ってすべてを知ったかのような風 思い出すことは綺麗なものばかりThe Moon I saw with you that day. 初出:つくば現代短歌
「おはようトースト」 望まれずに産まれたワタシが望まれて海に捨てられタツノオトシゴ 統計によればすなわち私よりあなたのほうが先に死ぬ あなたが ミッキーはなんたい? ランドとシーを持つ人間は嘘をつけない(はず) この街は光ばかりで暗闇をさがす私がかき消されるの スグ電を心で受けたあの日から上手く話せなくなったような 新訳にすっ飛ばされたメルヘンを拾い集めて生きていくんだ のぶ代ではなくてわさびのからだから、それいわれてもわからないか