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2024/7/31のウクライナへの大規模なシャヘド攻撃の考察

攻撃の開始

シャヘド攻撃は現地30日の2130から始まった。更に2325にはオレーニャからTu-95MSが6機離陸、カスピ海の発射地点へ向かっているのが確認され、黒海にもキロ型潜水艦が3隻、サヴァスレーカからはMiG-31Kも離陸、展開していた。
エンゲリスには最低でも4機以上のTu-95MSも駐機していたため、X-101/555は48発以上、カリブルは12発、加えてX-47発射の可能性と、一見すると大規模なミサイル攻撃が始まるのではと予想していた。

帰還する爆撃機

しかし実際は違った。
Tu-95MSのカスピ海到達予想時刻は0230-0330、その時刻を1時間以上経過してもミサイルの発射は観測されなかった。そして0430頃、4機のTu-95MSがカスピ海を離れ、オレーニャに帰還しているという情報が出た。0500、残り2機のTu-95MSもオレーニャへ帰還し、上空で待機していたMiG-31Kもサヴァスレーカに着陸し、実質の脅威はシャヘドとカリブルのみになった。

続くシャヘド攻撃

シャヘドの発射地点は4箇所、ブリャンスクのセーシャ、クルスク、クラスノダールのアフタルスク、クリミアのチャウダ岬。中盤以降は、シャヘドの脅威はウクライナ北東部からキーウにかけてが主で、南部と東部ではすでに撃退されていた。そして空襲は10時間以上にも及んだ。

飛来しなかった巡航ミサイル

長くなったがここまでが大まかな流れだが、あれだけの規模にも関わらず、X-101/555やX-47、カリブルなどは1発も飛来しなかった。実際このような攻撃は過去に何度かあった。Tu-95MSやMiG-31Kに関しては、ただ飛行訓練をしていただけだった。キロ型潜水艦については分からない。

連携の取れない攻撃

単純に発射可能数だけで考えてみる。
シャヘド→89機(飛来済み)
X-101/555→6~80発(最低値は6機が1発ずつの場合と、最高値はフル装備でエンゲリスのTu-95MSも合流した場合)
カリブル→12発
X-47→1発以上
低速な自爆ドローンから極超音速ミサイルまで、これだけ多様な攻撃手段があったのなら、もっと効果的な空襲になったのは間違いない。しかしロシア軍はそれをやらなかった(やれなかった?)。
結果、鈍足なシャヘドのみが飛来し、幾度となく飛来したシャヘドを迎撃し続けてきた防空部隊は、これらを全て撃墜する結果に至った。

攻撃の効果は

89機発射されたシャヘドのうち、ほぼ半数近くが首都キーウとその周辺に飛来した。意図がよく分からない。これらをポルタヴァ、ドニプロ、ミコライウの飛行場や前線後方にある兵站、拠点、いうなれば戦術的・戦略的目標に向けられれば、結果は変わったかもしれない。
撃墜した残骸で被害が出た地域も多くあるが、それが飛来した地域に戦術的・戦略的目標が存在したかどうかを問われると懐疑的なことろだ。

空軍の撃墜レポート
著者が現地民の投稿をもとに飛行ルートを可視化


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