日本語学習の「読解問題」
YouTubeで日本語教師雑談配信を聞いた。
日本語学習者に適した「読解問題」とは、どんな文章、どんな設問?という内容。
今回のお話はJLPTの読解問題を取り上げていたので
試験に向けた練習問題についていろいろ検討がされていた。
わたしも以前N1読解の授業をしたことがあったけれど、
問題集の文章も設問もたしかにピンキリ・・・。
生徒さんが「N1の文章はつまらない」という印象をもってしまうのは、もったいないことだと思う。
そういえば、思い出した。
N1を取得した生徒さんと「JLPTの勉強も終わったし、これから何を勉強しようか」と相談していたとき、生徒さんから、日本の中学の教科書を読みたいという希望があった。
それで、日本からわざわざ教科書を取り寄せて、生徒さんとふたりで、最初から読んでいった。
詩、物語、説明文、ルポルタージュ、短歌俳句、古典・・さまざまなジャンルの文章を、読んで、解説して、生徒さんからも質問があって、お互いに意見を言い合って。2年近くかけて、1学年分の教科書を読んだ。おもしろかったなあ。
作者のこと、時代背景、文化的知識など、生徒さんから予想外の質問が飛んでくるから、むしろ授業準備なんかできなくて、自分の中のストックをかき集めて勝負してたな。
試験のための読解ではないので、読みながら興味関心はあちこちに飛ぶし、生徒さんも知的好奇心が旺盛な方だったし、わたしにとっても勉強になるような対話になった。
「読書」と「読解」は違う。「読書」は鑑賞、「読解」はテクニック。
この生徒さんとの授業では、「味わう」読書の愉しみと、読解の「テクニック」を、意図せずごちゃまぜにしていた。まあ、ある意味やりたい放題(笑)だった。
たぶん、読みながら「わからない」こともたくさんあったと思う。意味はわかる、けれど、感覚的、体験的にわからない。
でもそれこそ「接地を待つ記号」となって、彼女の中に残っているといいな、と思う。