知らない人が隣にいる温かさ

身体が苦しいとき、人がいてくれるだけで温かい気持ちになる。

そんな不思議な実体験をお話させてください。


あの日、私は、大手町という大都会で2週間の出張の日々で、ひどく疲れ果てていました。仕事終わりに休憩してから帰途につきましたが、終業後に別の研修もこなしていたことから、心身ともにボロボロで、判断能力が低下していました。

乗り換えの神保町駅。

楽しい思い出もある駅なのに、我慢が限界を超え、気づいたら、半径1メートルに自分の嘔吐物が広がってしまっていました。恥ずかしさ、それ以上の頭痛や吐き気。何もできずにいると、知らない人が助けを呼びに行ってくれたようですが、それもうろ覚えなくらい。やってきた駅員さんも「うわ」と引いていて、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

やがて、誰かが、知らない人に言いました。

「あなたは、この人とどういう関係ですか?」

そうすると、知らない人が答えました。

「いえ、一緒にいるだけです。」

駅員さんは戸惑ったようにその場を去りました。知らない人は私の気持ちを知って共感するかのように戸惑いつつ、ティッシュを差し出してくれたり、声をかけてくれました。一人じゃない、そう思えました。

やがて、私は駅の休憩室に行くことになりました。知らない人は「じゃあ、私はここで。」のようなことを言って立ち去られたと思います。

その後、twitterで呼びかけてみましたが、見つかりませんでした。今でも、御礼をしたい気持ちでいっぱいです。

「知らない人」。そう書くと、とても冷たい言葉かもしれません。しかしながら、私はこの出来事を通じて、「知らない人」という言葉のイメージが変わったのです。彼女が変えてくれたのです。そして、私が変えていく一人になりたいと思えているのです。

#優しい世界

#やさしさにふれて