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幽霊を信じられないという不幸

わたしは幽霊を信じていない。

別に強がっているわけではない。
現に子どもの頃、初めて観た『リング』は怖かった。
お母さんと妹と3人で、近所のショッピングモールにあったお化け屋敷に入ったときには、お母さんのTシャツを妹と2人で掴んでいたから、めちゃくちゃ伸び伸びにさせた。

恐怖≒おもしろさと捉えるエンタメ的ホラーは、素直に怖がって楽しんでいる。
(わたしはかなり単純な人間なので、製作者の思惑通りにビビってると思う)

大人になった今では、むしろそんなエンタメ的ホラーが大好きになり、それに伴ってグロ耐性(フィクションに限る)がついて、鬱屈した映画ばかり観ているので隣で彼氏が嫌がっている。(彼は映画ならトイストーリー、ドラマならプロポーズ大作戦を愛してやまない)

わたし的に好きなホラー映画を挙げるなら
洋画なら『死霊館』、邦画なら『残穢』がとても良かった。
最近観て1番面白かったのはNetflixオリジナル『アメリカンホラーストーリー』
※怖い人もいると思うので、ポスターなどの画像を貼ることはやめました。興味ある方は検索してみてね。

ただ、これらは全て「フィクション」で、どれだけリアルでも作り物。
わたしはその作り物をありがたく面白がらせていただいている。

その上で、

「本物」の幽霊を一切信じていない。

地球にアウストラロピテクスなどの猿人が誕生してから700万年以上が経過している。
この地球上で生きている人間の数よりも、死んでいった人間の方が遥かに多い。
だから、何かしら、死んだ後の魂的なものが1つや2つ漂っていてもおかしくはないと思う。
あと、当然ながら死者を弔う気持ちなどもある。倫理的にバグっているわけではないので安心してほしい。

「心霊スポット」とかも信じていない。
というか、人が何人も自殺した場所だとか、
昔火事が起きて一家全焼した跡だとか、
そんな場所に面白がって行く意味がわからない。
既に潤沢にあるエンタメ的ホラーでは飽き足らず、「リアル」を求めた末の行動だと思うが、それは色々な配慮に欠けた人として間違った行動だと思う。

というわけで、わたしは幽霊を信じていない。
だって、見たことがないから。

わたしの彼氏は幽霊を信じている。
めちゃくちゃ怖いらしい。
わたしがホラー映画を観ているときは、イヤホンをしてYouTubeでお笑い芸人のネタを観ている。
それでも視界の片隅で映画を見てしまって、夜はトイレに行けなかったりなかなか寝られなかったりする。

わたしの親友も幽霊を信じている。
めちゃくちゃ怖いらしい。
短大生のとき一緒にUSJのバイオハザードに行ったら、ゾンビと勇敢に戦わないといけないのに、建物に入った瞬間から大号泣で、銃を渡してくれる味方役のクルーが目の前に現れた途端に絶叫していた。
「大丈夫、俺は味方だ」と言われた。

その時のプリクラがあった。
あんなに泣いてたのにケロッとしている。
というか、右が親友であるが左のわたしの眉毛のなさの方がホラーである。


わたしは、幽霊を信じていない自分を心底不幸だと思っている。

なぜなら、それはつまり死んだあとには「無」が広がっていると理解していることになるからだ。

「無」ってめちゃくちゃ怖い。
「無限ループ」くらい怖い。

肉体はおろか、今まで生きてきた人生の記憶も何もかも無くなるのが「無」。

わたしのことを思い出して泣いてくれる人がいるかもしれない。
わたしとの思い出を大切にしてくれる人がいるかもしれない。
でも、わたしは「無」なのだからそれを知ることはない。

それを考えたら怖すぎて泣きたくなる。
今すぐ幽霊を信じられるようになりたい。

幽霊を信じることができたら、死んでもその先にまだ見ぬ続きがあると思える。

何も幽霊になったからと言って、必ず生きていたときの恨み辛みを晴らさなければいけないわけではないだろう。
幽霊仲間とキャッキャうふふ言いながら世界中をふわふわ(?)漂うのもいいじゃないか。

わたしにとって幽霊は一縷の希望なのだ。

だから幽霊を信じてビビっていることで友だちにバカにされたり、一緒に遊びに行けなかったりしている人がいれば胸を張ってほしい。
ぜひ、死んだらいい幽霊になって、肩が凝ってる人に取り憑いて逆に緩和させたり、消したはずのテレビをその人の好きなアイドルが出ているタイミングで点けたりして、わたしのように絶望している人間に希望を見せてほしい。

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