ひだまりが聴こえるは成長物語。

難聴というハンディキャップ、さらに同性が好きというマイノリティ、色んな「違い」があるにも関わらず、二人がそれら全てを超えて「想い」で繋がっていくことに、何の違和感も抱かないこの作品って実はめちゃめちゃすごいことしてるのでは・・・
と見終わってふと感じた。それもこれも「好き」の解像度がすごく高いことがなせる技だったなと主演二人の役への造形の深さに脱帽した。

単純にゆっくりと二人が想いを通わせる物語として見ても充分に見応えがあるんだけど、個人的にはこれは「成長物語」として見ることでより一層楽しむことができたなと思う。
二人が出会って、お互いに影響されて変わっていくことで「自分を好きになること」そして「誰かを好きになること」その二つを知って人間として成長していった話。

ハンディキャップがコンプレックスになって外との接点を絶っていた航平が、太一の「素直さ」に触れて思いを表出することを覚えて、自分に自信が持てたこと。幼少期に両親に必要とされなかったことで人一倍「寂しさ」に敏感だった太一が、航平の寂しさにも気付いて、そんな一途な航平の想いに触れて自己肯定感を高めたこと。そうやってお互いが「この人といる時の自分が好き」になって、同時に相手から大切にされることも覚えて。
恋って人を成長させるんだなと二人を見てまぶしく感じた。

またこの作品の好きなところは「前向き」なマインドなんだよな。
特に航平の、太一に出会えたからという一途な思いが全ての原動力になっているところが大好きだった。
さまざまなマイノリティを抱えているので、もっと切なくなったり、報われないと落ち込む描写があってもおかしくないけど、小さな出来事を喜んだり、太一のことを楽しそうに話していたりと「恋心」が航平の純粋な頑張れる理由になっていることがすごく温かくて、見ていて心地が良い。そうだよね、誰かを好きになるってこれくらい純粋であっていいんだよね、毎日を頑張れる理由なんだよね、と気付かされたような気持ちになった。この年になるとリスクを考えたり、ギブアンドテイクを求めたりしてしまうから、ただただ見返りもなく人を好きになる航平が眩しくて、泣きそうだったし、純粋に恋っていいなって気持ちを思い出した。
だから「なんでこんな耳なんだろうって何回も思った」とマヤに話す航平が「でもだから太一と出会えた」と究極の生きる意味を見つけていたシーンは、なんだかこっちまで幸せで、心の底から良かったねと思った。
最後に二人は思いを通わせるんだけど、例えばもし、これが一方通行で、航平だけの思いで終わっていたとしても、航平にとっては無駄でない、むしろ糧となる思い出にもなっていただろうなと思った。航平にとって、太一と出会えたという事実は、それだけで一生を頑張れるくらいのパワーがあるんだろうな。あ、なんかもう書いてて泣きそう(激重)

太一も太一で、自分の気持ちに鈍感なところはきっと幼少期が影響してて。全てに鈍くないと、寂しさに気づかないフリをしないと生きれなかったから、いつしかそれに慣れてしまっていたんだろうな、と。
だからこそ無償の愛で理由もなく思ってくれる航平が分からないと思いつつ、少しずつインナーチャイルドを癒していったことで、最後はしっかり航平の手を掴めたと思うと、本当に、あ、ダメだ泣きそう。

なんか色々と書いたけど、恋は人を成長させるし、全ての原動力にもなるんだなとステップ1みたいなことに気付かされて、今猛烈に恋をしたい気分になっていますという話でした(?)
しかも好きになってほしいとかじゃなくて、見返りを求めずただそこにいてくれるだけで幸せみたいなやつ。存在に感謝するやつ。
あれ、、、これ推しで満たせるのでは?と怖いことに気付いたのでこの辺にしておきます。
いつか私にも太一が現れてほしいです。とりあえずひだまりが聴こえるを、恋のバイブルにしようと思います。

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