㊳夏の思い出「ま、そうなるわな」という話
昔、週末によく荒川の土手を散歩したりしていました。
夏の暑い時期も、天気が良ければよく荒川の土手を歩いたものです。
土手を歩いていると、人や自転車とすれ違ったりするんですが、習慣的に毎週歩いていたりすると、何人か同じ人とすれ違っていることに気が付きます。
この人先週もすれ違ったな、ということがあるんですね。
で、その中の一人に自転車に乗ったおじいちゃんがいたんですね。ちょっと長めの白髪で少しぽっちゃりしてて、風にその髪がなびいたりしていました。
ちょうど今頃ですかね。
暑くなってきたので、だんだん薄着になってくるんですが、この時期のスタンダードは白い短パンに白っぽいTシャツ。
歩いていると、毎週土手のどこかですれ違うわけです。
時期的にどんどん暑くなってくるんですが、それに合わせておじいちゃんの着こなしが微妙に変わってくるんですね。
暑くなってきて、まずおじいちゃんはTシャツの袖をまくって腕を出すようになりました。
さらに暑くなってくると、袖をまくったうえでTシャツの前をまくってお腹を出して自転車に乗るようになりました。
気温に合わせて絶妙な着こなしで、体温調節をしてるんですね。
なかなかお腹を出して自転車に乗っているおじいちゃんを見ることはないと思いますが、私は臨機応変に暑さに対応するそのおじいちゃんを見て、少し感心していました。
そして夏本番。
さらに暑くなった次の週くらいにすれ違ったとき、
おじいちゃんは上半身裸で自転車を漕いでいました。
私は
「ま、そうなるわな」
とつぶやいていました。
さらに暑くなったら、上半身裸で水でもかぶってビチョビチョで自転車に乗ってるんじゃないかと期待しましたが、そんなことはありませんでした。
でも、上半身裸は何週か続いたんじゃないかな。
なかなかイカした夏の思い出です。
※)創作大賞に「ボクの道草」という短編小説を応募しています。なんてことない話ですが、短いのでよかったら読んでみてくださいね。読んでもらえたら喜びます。スキ/フォローありがとうございます。励みになります。