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短編小説w 「私がぶつかった理由」 

2年前に、自転車とぶつかって腰を痛めた。

いや、正確には自転車とぶつかった後に大学生くらいの女性が落とした何かの書類を拾っているときに、グキっとなったのだ。

カバンを抱えながら自転車に乗っていたその女性は、よそ見をしていたのか私がマンションの前を交差点に向かって歩いていたのに気が付かなかったようで、「あっ」と小さな声をあげて私に自転車でぶつかりカバンを落とした。

カバンに差していたらしい書類の束が歩道に散らばった。

自転車が来ていたのはわかっていたが、まさかぶつかるとは思わなかった。

歩道は幅が広く歩いている人を避けるスペースは十分にあったから、やはり彼女が前を見ていなかったのだ。

右腕に衝撃を感じて、私は「なんだよ!」と思ったが、「すみませんっ」と申し訳なさそうに振り返った彼女が、よくみるとちょっと可愛かったので、私は舌打ちを引っ込めた。

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