気温上昇は都市化の影響が大きい。
「最近、暑くなった。」
この言葉、よく聞きますね。しかし、暑くなった原因を「地球温暖化の影響だよね。」と簡単に片づけてはいないか?
この記事では、気温上昇の原因を地球温暖化説からではなく、都市化に注目し考える。
誰もが知っている通り、地球温暖化の定説は、産業革命以降、人間が化石燃料を消費することで、大量の温室効果ガスが排出され、大気中の温室効果ガス濃度が上昇。そして地球が温暖化しているというロジックだ。
IPCCは最新のレポートで「世界平均気温は、工業化前と比べて約1.09℃上昇した。」と評価している。
しかしここで2つの疑問が浮かぶ。
①本当に地球温暖化の原因は温室効果ガス排出による影響?
②逆に1℃しか上昇していないの?
前者は、もはや常識となり誰もが疑問に思わないだろう。対して、後者は多くの日本人が抱く疑問ではないか?
この両者の問いに対する解が、気温上昇は都市化の影響が大きいということだ。
まず、都市化が気温上昇に影響を与えているのかを確認する。
このグラフは日本の主要な11都市と、都市化の小さい15都市の平均値(一番左下のデータ)の16地点における、過去約100年の年平均気温の上昇と都市化率の関係を示している。(※ちなみに、ここで言う都市化率は、ある一定の地表が人工物でどれだけ覆われているかによって都市化を評価している。)
このグラフから、都市化率が高い地点ほど、気温が上昇していることがわかる。都市化は、気温上昇に影響を与えていると言ってよいだろう。
※ちなみに都市化による気温上昇のロジックは、建物からの排熱、アスファルトの蓄熱、ビルにより風通りの悪化などによる気温上昇のことだ。ヒートアイランド現象と言っても間違いではない。
では、都市化はどの程度気温の上昇に影響を与えているのか。
このグラフは、都市化率の大きい都市(東京、名古屋、大阪)と都市化率の小さい15都市(網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、境、浜田、彦根、多度津、宮崎、名瀬、石垣島)の年平均気温の長期推移を比較し、両者の気温の差を示している。
ここからは、都市化率の大きい地点と小さい地点では、1℃弱の気温差があることがわかる。地球温暖化説の気温上昇と大きく変わらない。
つまり、地球温暖化説と都市化は気温上昇に同程度の影響を与えていると言うことができる。
しかし、前述の15都市にもアスファルトは敷かれているし、ビルだってある。都市化の影響がまったくないわけではない。
そのため今度は、3大都市平均と都市化の影響がより小さい屋久島、八丈島の8月平均気温の長期推移を確認してみた。
・3大都市は約2.21℃の上昇
・屋久島は約0.88℃の上昇
・八丈島は約0.46℃の上昇
3大都市と屋久島を比べると1.3℃の差、八丈島と比べると1.7℃の差が認められる。
屋久島であれ、八丈島も都市化の影響がまったくないとは言えない。しかし、都市化率のかなり小さい地点と比較すると、都市化が気温に与える影響は温室効果ガスが与える影響よりも大きいのではと考えることもできる。
以上のデータより都市化が進むほど気温が上昇していることがわかった。そこから、都市化の進んだ地域では、温室効果ガス濃度に起因する気温上昇よりも都市化の方が大きい影響をもたらしているのではないかと考えることもできる。
2015年に採択されたパリ協定では、産業革命以降の気温上昇を2℃ないし1.5℃に抑制することが目標とされた。その対策のため、温室効果ガスの排出を抑えることに全世界が取り組んでいる。
ただそれだけでは、気温上昇を抑えることはできないのではないか?むしろ、都市化の対策をした方が効果的ではないか?
例えば、公園を増やす、緑化を進める、地域冷暖房の導入など都市化の対策は数々あげることができる。
どれも、地球温暖化対策で言われていることと似ているかもしれなが、気温が上昇している原因をより的確に把握する。そのうえで、その原因を解消するための対策を考える必要があるだろう。