詩 バナナケーキ
ようく考えてごらん
君の目の前にバナナのホールケーキが
あるとする
それはある日のこと
計算高い男が君に言う
"そのケーキは長持ちします。
私にくださるのなら今日は半分、
明日は残りの半分、明後日は明日の半分
と、私にくださり続けて下さい。
そうして私は永遠にあなたの元に
バナナケーキを所望したくー"
"そういう風な分け方も面白いけど
私ならあなたと私で半分、半分して
残りを無くして今日中に食べきってしまいますわ"
計算高い男は当てが外れて
この恋は望みなしと思い
"実は私はバナナの香りが駄目でして。
ご機嫌麗しゅう"?
去っていく男
こんな切り口の男の口上はちょっと新鮮
君は一計を案じ
お使いの男を出し指輪を計算高い男に
お忘れになりましたと渡すようにした
計算高い男は
使いの者の言葉に戸惑ったが
君の想いに気付き
至福を味わえた
彼は実はバナナが好きだった
"