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トレイルランとサンバ ~リズムはジョルジ・ベンジョールで!

週末の早朝、トレイルラン仲間のカズから謎のメッセージが届いた。「今回のテーマはサンバ。山で『マシュ・ケ・ナダ』踊りながら走るぞ!」という内容だ。「あの『マシュ・ケ・ナダ』?ジョルジ・ベンジョールの?」と驚く私に、カズは「山も音楽もノリが命だろ!」と笑い飛ばす。彼は頭に羽根を付け、カラフルなスパンコールの衣装に身を包み、ポータブルスピーカーを持参していた。

スタートの合図とともに、スピーカーからジョルジ・ベンジョールの「マシュ・ケ・ナダ」が流れ始めた。軽快なリズムに合わせて、カズはサンバステップを踏み始める。私も巻き込まれ、つい「マシュ・ケ・ナダ~♪」と口ずさむが、山道でスパンコール姿のカズが踊り狂っている姿は異様だ。他のランナーたちも驚いて振り返るが、カズは満面の笑みで「ジョルジのリズムが俺たちを頂上まで導くぜ!」と気合十分。

しばらく進むと、周りのランナーたちが私たちを追い抜いていく。そのたびにカズは「おーい、サンバで行こうぜ!」と声をかけるが、誰一人として立ち止まらない。「普通に走ろうよ」とぼやくと、カズは「お前、サンバの魂わかってないな!」と笑ってリズムを刻み続ける。登り坂ではさすがに息切れするが、ここで「シル・バレンチン」の「ア・セメウラ・サンバ」をかけ始め、彼は腰をふりふり再びペースアップ。「シルの声が山に響くと元気が出るだろ!」と言いながら、踊り続ける彼の姿に私もなぜかやる気が出てくる。

しかし、急な下り坂で事件が発生した。カズのスパンコール衣装が木の枝に引っかかり、バランスを崩して転倒。カラフルな羽根が宙を舞い、音楽も一瞬途切れる。だが、カズは「転ぶのもリズムの一部だ!」と笑顔を浮かべ、まるで何事もなかったかのように立ち上がり、「さぁ、行くぞ!」と「サンバ・ヂ・ジャネイロ」に曲を切り替えた。

ゴールにたどり着くと、周りのランナーたちからは拍手が巻き起こった。私たちは息も絶え絶えだったが、最後までサンバのリズムに乗り続けたカズはまさに「サンバ魂」そのものだった。「次回はもっと派手に、エスコーラ・ヂ・サンバみたいに行こうぜ!」とカズが宣言する。疲れたが、サンバリズムに乗せられたトレイルランは思った以上に楽しく、次の冒険が少し楽しみになっている自分がいた。

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