トレイルランにおける嫉妬
トレイルランニングの「7つの大罪」の中で、特に厄介でつかみどころがないのが「嫉妬」。一見、山道を駆け上がるランナーには無縁に思えますが、実は山の深い森の陰にひそんでいるのです。周りのランナーとの比較から始まる嫉妬は、トレイルでの楽しさを忘れ、ストイックにさせる隠れた敵。そのいくつかの例を見てみましょう。
1. 嫉妬とスピード:あいつ、速すぎない?
トレイルの序盤で誰かがさっそうと駆け抜けていくと、「なんであんなに速いの?」と、思わず心の中で嫉妬が芽生えます。自分だって頑張ってるのに、あの軽やかな足取りにはついていけない…。すると次第に「俺の方が練習してるはずなのに」と無意味な競争心が生まれ、無理なペースで突っ込んで後でバテるという自己破滅的な展開に。
2. 嫉妬と装備:ギア自慢が止まらない
トレイルランナー同士が集まると、新しいギアの話題で盛り上がることはよくあります。しかし、「あのザック、すごく軽そう」「あのGPSウォッチ、高そうだな」と、隣のランナーの装備が眩しく見えることも少なくありません。自分が愛用している装備が急に古臭く見えてくる瞬間、嫉妬の炎が心に点火。やたらと買い替えたくなってしまうのです。
3. 嫉妬と景色:SNS映えに敏感になる
トレイルランナーたちは景色の写真をSNSに投稿しがち。しかし、「あいつ、あんな素敵な場所に行ってたの?」「あの角度、完璧じゃん…!」と、他人の投稿に心がざわつくことも。美しい山頂の写真を見て、次のトレイルランで同じ構図を真似しようと躍起になり、結局、走る楽しみを忘れてカメラばかり気にしてしまうこともあるのです。
4. 嫉妬と体型:あの筋肉、どうやって作ったの?
「彼の足の筋肉、どうやったらあんなに引き締まるんだ?」と他のランナーの筋肉美に嫉妬するのもトレイルランならでは。日々のトレーニングの成果を見せつけられると、「自分ももっとトレーニングしなきゃ!」と無理に鍛え始め、次の日に全身筋肉痛で後悔する、というありがちなパターンです。
5. 嫉妬と体力:後半も余裕のランナーにイラッ
トレイルの終盤で涼しい顔をしている人を見かけると、「なんであの人だけそんなに元気なんだ?」と嫉妬心が湧き上がります。自分は汗だくでヘロヘロなのに、彼らは笑顔で走り続けるその姿は憎たらしいほどです。こうなると、彼らの「特別な秘密」を探りたくなり、無駄に余計なことばかり考えてしまいます。
6. 嫉妬と自己記録:「あの人、またPB更新?」
トレイルランでは、自己ベスト(PB)更新が一つの目標。しかし、他のランナーが次々と自己記録を更新していくのを見ると、「なんで自分だけ停滞してるの?」と、やる気が削がれてしまいます。「自分だって頑張ってるのに…」と嫉妬し始めると、気づけばそのことばかり考え、自分らしいペースを見失ってしまいます。
7. 嫉妬と仲間:集団の中心は彼ばかり
トレイルランのグループでは、リーダー的存在や人気者が目立つもの。彼らが皆から応援され、賑やかに話しかけられていると、「自分だって一緒に頑張っているのに」と少し嫉妬が湧くこともあります。でも、山の中で孤独を感じてしまうのは悲しいもの。結局、仲間として互いに助け合うことが大切なのです。
最後に
「嫉妬」は、トレイルランナーにとって見えない敵ですが、周りに影響されることなく自分のペースを見つけるための良い教訓でもあります。周りの華やかな成果に目を奪われず、静かに山道を楽しむこと。それができれば、山の中での本当の自由を味わえるのです。嫉妬心は次第に消え去り、自然と共にある穏やかな心が訪れるはず。