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トレイルランニングとハウスミュージック

この二つが繋がるなんて思わないかもしれないが、実は相性抜群だ。特にお気に入りのプレイリストをセットして山に挑めば、そこはもう自然の中に出現したダンスフロア。例えば、最初の一歩を踏み出す瞬間に聴くのは、CamelPhat & Elderbrookの「Cola」。この曲のゆったりしたビートが、最初のランニングリズムをしっかりと掴ませてくれる。体が自然とスイングし始める頃には、周りの木々も一緒に踊りだすような錯覚が起こる。

トレイルの道は石や根っこだらけで走りにくいが、そこに流れてくるのがFisherの「Losing It」だ。トレイルのゴツゴツした不規則さとこの曲の荒々しいビートが妙にマッチして、まるで石や根っこがビートに合わせた障害物コースの一部に思えてくる。躓きそうな段差すら、ステップの一部だと思えばなんてことはない。「オッケー、これはただのダンスの延長戦だ!」なんて感じながら走り続ける。

やがて上り坂がやってくる。ここでのベストトラックは、Disclosureの「When A Fire Starts To Burn」。この曲の徐々に高まるビルドアップが、上り坂の辛さを忘れさせる。ビートが盛り上がるたびに、まるで背中を押されているような感覚に陥る。「火がついた、今がその時だ!」とばかりにリズムに乗って登り切るころには、完全にパワー全開。

そして、待望の下り坂が見えた瞬間、何を聴くか?もちろん、Michael Calfanの「Treasured Soul」だ。この曲の解放感溢れるメロディが、足元の緊張感を和らげ、まるで空中を飛ぶような気分にさせてくれる。風を切って駆け下りるたびに、足元の音とハウスビートがシンクロして、トレイル全体が一体となったような感覚が広がる。

ゴールに近づくと、もうひとつ聴いておきたいのがDuke Dumontの「Ocean Drive」。この曲のメロディアスなビートが、疲れ切った体に再びエネルギーを注ぎ込む。足取りは重くても、音楽が背中を押してくれるので、最後の数百メートルが軽やかに感じられる。

そしてゴールラインを超えると、音楽はフィナーレへ。体は汗だく、足はガクガクだが、耳の中ではまだ「ドゥンドゥン、チャカチャカ」というビートが残響している。山頂の静けさとハウスミュージックの余韻、そのコントラストが妙に心地よい。「ハウスとトレイルランニング、これは新しい定番かも?」と思いながら、次はどの曲で山を踊り明かそうか、とまた考え始める。

ハウスミュージックはただのクラブ用じゃない。山の中でも、そのビートはランナーの心臓とリンクし、過酷なトレイルを一瞬でパーティー会場に変える魔法を持っている。

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深北男塾note
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