トレイルランニングと恋愛の関係性
トレイルランニングと恋愛には、驚くほどの共通点がある。まず、どちらも「準備万端」で挑むつもりが、いつの間にか予期せぬ難所に足を取られる点だ。恋愛では「この人だ!」と思ってデートに行ってみれば、なぜか会話がぎこちなく、気がつけば「山頂まであと5キロ」くらいの距離感が生まれる。トレイルランでは、地図上では平坦に見えたはずの道が、なぜか急な登り坂に変わっている。これはきっと、トレイルの神様と恋愛の神様が共謀して、私たちに試練を与えているのだろう。
さらに、どちらも最初は勢いよくスタートを切るものだ。恋愛では最初のデートで話が弾み、相手の魅力に心が踊り、まるでスタートラインから全力疾走するかのよう。しかし、トレイルランでも同じく、出発直後は風を切るように走り、絶好調だと錯覚する。けれど、ちょっとした登りが始まると、恋愛でもトレイルでも一気に息が切れ始める。「あれ、このペースで大丈夫だろうか?」と不安が頭をよぎる瞬間は必ずやってくるのだ。
トレイルランと恋愛のもう一つの共通点は、「一緒にいる人次第で、景色が全く変わる」ということだ。山の中で走るとき、隣でペースを合わせてくれる仲間がいるだけで、どんなに厳しい道のりも楽しく感じられる。恋愛も同様で、相手と共に過ごす時間が心地よければ、どんな困難も一緒に乗り越えられる気がする。逆に、息が合わないと、どんな美しい景色もどこか物足りなく感じてしまう。
それにしても、トレイルランと恋愛の「ペース問題」は実に厄介だ。トレイルでは、速すぎると体力が持たず、遅すぎると目的地にたどり着けない。同様に、恋愛でも急ぎすぎると関係が冷めてしまうし、ゆっくりすぎると「このままでいいのか?」と疑念が生まれる。この微妙なバランスを保つためには、時折立ち止まり、深呼吸する勇気が必要だ。トレイルで美しい景色を楽しむ時間を作るように、恋愛でもお互いの時間を大切にすることが大事だ。
そして、忘れてはいけないのが「補給」だ。トレイルランニングでは、エネルギーバーや水分補給を怠ると、後々大きな後悔をする。恋愛でも同じで、小さな気遣いや優しさを忘れると、関係は干上がってしまう。たまに相手に「お疲れ様」の一言や、何気ないサプライズを渡すのは、恋愛のエネルギーバーと言えるだろう。
最後に、トレイルランも恋愛も「ゴール」が一番重要なわけではない。山頂にたどり着くことが目標であっても、その道中で感じた風や、見た景色が結局は一番の宝物になる。恋愛も同じく、結婚や同棲といった「ゴール」を目指すのは素敵なことだが、それまでのプロセスで得られる喜びや成長こそが、本当の意味での成功かもしれない。
そう考えると、トレイルランも恋愛も、どちらも「挑戦する価値がある冒険」だ。どちらも簡単ではないけれど、その険しさこそが、たまらなく魅力的なのだ。