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スペインのクリスマス週間 前編


キリスト教を世界に広めたスペインにおけるクリスマスは、今でも一年で最も重要なイベントで、その期間は12月24日のイブから、1月6日の当方の三人の王様がプレゼントを持って来る日までを指す。それは2-4世代の家族中が誰かの家に集まり、イブ、地方によっては25日の昼、31日の夕飯、6日の王様のケーキを食べながら盛大に祝うもので、そのご馳走と家族中のためのプレゼントの数はものすごく、会社員や年金受給者には一か月分のクリスマスボーナスが出るが、それでは足りずに借金をしてでもその時は豪華に祝いたい人たちが多い。

家もクリスマスモード

22日
今年は22日から27日までを息子たちの家で過ごす。孫と嫁は21日から17日間の長いクリスマス休暇。息子は自宅で仕事。何日かは有休を取るらしい。AVEでマドリッドに着く。

メリーゴーランド

家はすっかりクリスマスモードに飾られていた。午後はスペイン広場にクリスマスマーケットや、ローラースケート場、メリーゴーランドなどが出ていると言うので、皆でバスで出かける。休暇中の日曜日だが、まだ早い時間なのでそれほど混雑はしていなかった。乗り物に乗って、お店を見て、チューロスとホットチョコレートのおやつを食べて、高級ブランド店が並ぶセラーノ通りを散歩。ロエベは海のイメージ。店内に巨大な提灯ナマズのオブジェがあったので、入って写真撮影。ショーウィンドウも海のモチーフで楽しい。各店趣向を凝らした飾りで、買い物袋を提げた人たちが沢山いる。みんなワクワクしているように見える。

クリスマスの飾りも様々

23日
今年のクリスマスイブはイギリスで食べておいしかったホロホロ鳥のローストを作りたいので、チャマルティン市場にある鳥類専門店に息子と孫と出掛ける。店はものすごい人。番号札を取って待つのだが、25人以上待っている。店員は6-7人いるが、料理に合わせて肉を切ったり色々するので、一人当たり結構時間がかかっている。偶然孫のとても仲良しの友人のお父さんが働いていた。気が付いて大忙しの中挨拶に近寄ってきてくれた。
私と孫は市場を散策。皆すごいご馳走を作るので、食材の値段も跳ね上がる。どこも買い物客でいっぱいだ。ようやく順番が来てロースト用にとお願いすると、バーナーで丁寧に残った羽根を焼いてくれた。
帰りに冷凍食品専門店により、ロブスターのカルパッチョ、蟹の足を買う。八百屋に寄って、買物終了。
スペインの習慣で、会社が社員にクリスマスバスケットと呼ばれるクリスマスに食べるようにおいしいものの詰め合わせをプレゼントする。息子の会社はこれは無いが、今年は代わりにスペインの支店の社員全員をビルバオ1泊旅行に招待し、そこで日本の忘年会に当たる食事会があったそうだ。嫁の会社は、イベリコ生ハムとロモ、チーズやワイン、スイーツ等がプレゼントされたので、前菜に頂くことにする。
午後には孫とカップケーキを作った。うっかりとタネを寝かさずにオープンに入れたので膨らまなかったが、味はおいしかった。
色々遊んであっという間に1日が過ぎる。

膨らまず残念

24日 
孫の友人の家族の誕生会のブランチに、息子たちと私達3人の祖父母が招待された。地方から祖母と叔父さんが来たので、マンションを借りてそこで行うそうだ。部屋の飾りやおばあちゃんの手作りケーキまでバッドマン一色!年子の2人のお兄ちゃんが今日で5歳になった。プレゼントを皆からもらって、3人は早速遊び始める。孫が友達と遊ぶのは始めて見たけれど、とても楽しそうだ。父親はスペイン人で母親は日本人。私達もいろいろ話せて楽しかった。

誕生会はバッドマン

帰りに嫁の実家に寄り、明日家族が14人が集まるので、グラスなど必要な物を運ぶ。帰ったらクリスマスディナーの準備をして、いよいよ食べる。今年も皆元気に揃ってクリスマスが祝えて良かった。孫が寝たら、プレゼントの準備。沢山あるので、それぞれに名前のカードを着けて、クリスマスツリーの下に置く。ちなみに孫は今夜サンタクロースが来るのは知らない。知っていると興奮して夜中に起きてくるからだ。(笑)ぐっすりおやすみなさい。

クリスマスディナーは4人で

25日 
孫が私の部屋にやって来た。しばらく話してから、サンタクロースが来たかもしれないよ、と言うと走って見に行った。パパとママを呼んで、今年は孫が文字が読めるようになったので、カードの名前を読んで各自に渡してくれる。これは何だろう?頼んだものとは違うけど、柔らかいな。とか言いながら開けていく。お目当てのレゴの大きな箱が意外にも最後まで目に入らず、開けた時には感激。早速遊び始めた。警察と牢屋の建物があり、犯罪者が爆破して逃げるそうだ。久々に組み立てたが、なかなか難しくて時間がかかったけれど、完成。

レゴとクリスマスパティー

そうこうしているうちに、皆がやってくる時間が近づき、準備。今日は持ち寄り。私はエビせんと鶏の唐揚げを作る。パラパラと皆やって来た。大人9人と子供5人。みんなと会うのは1年半振り。小中高校生の子供たちの成長が目まぐるしい。狭いけれど皆何とか座って食べられた。今日は息子の提案で集まったそうだ。カジュアルで賑やかで、楽しいクリスマスになった。締めくくりはクリスマスケーキ。ちなみにスペインでは、ケーキを食べる習慣は無いが、やはり大きなケーキは華やか。甘さも適度で皆満足。孫も従兄弟やおじさん達に遊んでもらって大満足。幸せなことだ。

大きなクリスマスケーキ

26日
今日は平日で息子は家で仕事なので、まず私はおせち用品を日本食材店に買い出しに行き、それから私達3人はマチスの彫刻や絵の展覧会を近くの会場に見に行く。

会場もクリスマスモード

孫も静かに作品をひとつ々見ていた。彼の彫刻をこんなにまとめてみたのははじめてだが、女性の体の線の表現がマチスらしかった。天気が良いので隣の公園で少し遊び、買物をして帰る。夕方からは孫と息子と3人で私の友人達の児童演劇を観にマタデーロに行く。

児童演劇MR.BOを観に行く

巨大な敷地に沢山の倉庫のような建物がある、マドリッドの文化施設。役者は大きなマスクを被って無言で演じるのだが、小さな子供から大人まで釘付けになり、すっかりお芝居の世界に入っていく。時々父親に分からない事を聞いていたが、とても楽しんで、終わったら舞台上に皆を招き、マスクを触ったり役者達と話したり、写真を撮った。今日は私達を招待してくれたので、差し入れにスイーツを渡す。夕飯一緒に食べられるよね?と聞かれ、息子が私は残るように勧めてくれたので、彼らが着替えて大道具にペンキを塗る間私は施設の展覧会を見ることに。

2つの展示を楽しむ

イベロアメリカデザイン展は、地球に優しく美しいデザインの物の展示。携帯のカタマランが欲しくなった。次は想像上の言葉と言う展示。造語をグラフィックデザインで表現していて、なかなか面白い。そうこうしているうちに電話があり、劇場前で落合い、劇団の皆と奥さん1人と私7名で夕飯に。皆とこうして芝居の後に食事をするのは何度目だろう。子供達の成長の様子を聞いて月日の流れを辿る。早い時間から食べ始めたのにいつの間に閉店時間。寝酒に付き合えと言われ断れずにもう一杯。

マドリッドのベルモットはポピュラー

ベルモットがマドリッドでも特においしい店だと言う全国紙の記事があったので、頼んでみたらおいしかった。久々に終電間際まで遊び、皆と別れる。次はどこでどんな作品を見せてくれるのだろう?
27日
今朝は孫が一学期に幼稚園でやった物を見させてくれた。新しい学校はバイリンガルで、半分はすべて英語。始めは戸惑ったようだが今はきれいな発音で、ついて行けているようだ。まったくうらやましい。

動物の絵とお昼ご飯

昼ご飯はおいしい中華をごちそうしてくれるそうで、歩いて出かけた。スペインにはスペイン人が好むような中華しか作らない店が沢山あるが、ここ10年ぐらいは本格的な料理を出すところもだいぶ増えた。蒸したスズキをメインに、ワンタンスープに豆腐や野菜料理など、ビーフンや豚肉の豆鼓風味など、皆大満足。帰りに孫は色が変わるカメレオンのおまけつきのナショナルジオグラフィックの子供版を買ってもらっていた。これはなかなか勉強になるそうで、始めて見た。マドリッドの家族とのクリスマスを終え、私は電車で帰路につく。


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