偽りの笑顔 習近平
遅くとも2月までに開かれると言われてきた「3中全会」(中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議)が、いまだに開かれていない。4月1日に、「3中全会」は今年の6月に開かれるという情報が突然、飛び出した。
情報源は米国のシンクタンク「カーネギー国際平和基金」のダグラス・パール研究員だ。3月末に北京で開かれた「中国発展のハイレベルフォーラム(CDF)」に参加した際、中国側の幹部たちと話し、「6月ごろに3中全会を開く予定。しかし、正式に公表されておらず日程が変わる可能性もある」と聞いたという。
また、それまでに彼ら(中国側)は直面している問題を解決する具体策を考えると、付け加えたという(ラジオフリーアジア中国語版、4月1日付)。つまり、まだ準備中ということだ。
「3中全会」は、今後5年の経済方針を議論する重要な共産党の会議だ。慣例に従えば、新政権が発足した年の秋か年末に、新しい経済などの政策方針を議論し、決議をする。1978年12月18日に行われた中国共産党第11回党大会後の「3中全会」で、改革開放へ舵を切ったことは有名だ。
そのため、2022年10月の中国共産党第20回党大会で習近平総書記が3期目に入った後の「3中全会」も、並み並みならぬ注目を浴びた。しかし、予定の時期になってもなかなか開かれる気配がない。6月開催との情報が、中国国内ではなく米国から出てきたのも微妙だ。
そのため、2022年10月の中国共産党第20回党大会で習近平総書記が3期目に入った後の「3中全会」も、並み並みならぬ注目を浴びた。しかし、予定の時期になってもなかなか開かれる気配がない。6月開催との情報が、中国国内ではなく米国から出てきたのも微妙だ。
改革開放と外資誘致の強調
前兆はあった。3月27日、習近平主席が米国の代表的なCEOたちと会った。習主席は「中国の改革開放は止まることがない。われわれは一連の改革を全方位的に深化する重大な対策を作り、推進するつもりだ。最適な市場化、法治化、国際的なビジネス環境を引き続き作り、米国を含め各国の企業にさらなる大きな発展のチャンスを提供する」と話した(人民網、3月28日付)。
迷った挙句、習近平主席はこれまでのあいまいさを改め、やっと経済発展の方向に舵を切ったようだ。おそらく具体的な経済対策を練っているのだろう。
中国は再び改革開放を進める。外資を引き続き歓迎する。米国のビジネスリーダーたちに、習近平主席はこのように経済方針を、明確に伝えた。
習近平主席は、逆戻りする経済政策で経済を冷え込ませ、外資も民営企業も逃げ出した。中国経済の発展を促進するためには、これまでの失策を挽回する必要があった。
そこで、中国国民に先に知らせるのではなく、練っている段階で、まず外国の企業家たちに伝えた。それだからこそ、「3中全会」は今年6月に開かれるだろうという重要情報を国際会議の場で語り、外資を安心させることを優先したのだ。それだけではなく、3月26日から29日まで海南島のボアオで行われた「ボアオアジアフォーラム」でも、中国の幹部が、外国からの参加者たちに「3中全会」の日程を語った。こうした行為も意図的だろう。
国内向けでなく外国の企業家たちに先に情報を漏らしたことは、中国経済がかなり困っていることの証だ。
あれほど「中国国内の大循環」の経済モデルにこだわっていた習近平主席が、いまになって米国企業トップたちを笑顔で迎え、さらなる改革開放及び外資誘致を語った。あらゆる国際会議の場を利用して、中国の幹部たちに、経済方針を定める「3中全会」の情報を流させた。
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