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軟部組織の障害と理学療法〜肩関節編③〜どのように障害部位を特定するか?

軟部組織障害部位の特定と機能

どのように障害部位を特定するか?

肩の障害部位を特定するには、まず詳細な問診で、いつ、どこで、どのように痛むのか、どのような動作で症状が悪化するかなどを把握します。

次に、肩の可動域、圧痛部位、特定の動作での痛みなどを確認する理学検査を行います。例えば、腱板損傷であれば、ヤーガソンテストやドロップアームテストなどが用いられます。インピンジメント症候群であれば、ニアテストやホーキンス・ケネディテストが参考になります。SLAP損傷に対しては、O’Brienテストなどが用いられます。

X線検査では、骨棘や関節の変形など、骨性の異常を確認します。MRI検査は、腱板断裂、関節唇損傷、靭帯損傷など、軟部組織の状態を詳細に評価するのに有効です。

これらの情報を総合的に判断することで、障害部位を特定していきます。

● 画像所見による軟部組織障害の特定にはMRIやエコーが有用である。
●整形外科徒手検査を用いる場合、各検査がどのような障害の特定に有用か、得られた後 査所見にはどの程度の精度があるのかを把握しておく必要がある。
●診断に基づいた単一の理学所見のみを確認するのではなく、包括的に評価・検査を行 う 中で肩関節に生じている障害や病態の特定を行っていく。


1 画像所見による軟部組織障害の特定


● 主に単純✕線やCTは骨構造を評価するために用い,MRIやエコーは筋、、靫帯、関節包など部 織の評価に用いる。
●MRI とエコーによる腱板損傷の診断精度はどちらも優れており、腱板損傷の特定に有用である。
● MRI では炎症部位が高信号域として描出され、障害部位の特定だけでなく病態の推察に役立つ。
●エコーは関節運動をリアルタイムで可視化できることから動態評価に利点があるまた、カラードプラを用いることにより、組織の血流を観察することができ組織治癒の過程や炎症の程度を把握ることができる。
●画像評価を用いて障害部位の特定を試みる際に、診断行為とならないように注意する必要があり、理学診療における病態推察の一助として活用 することを念頭に置く。

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