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軟部組織の障害と理学療法〜肩関節編⑦〜肩腱板損傷の予後と治療に影響する要因は何か?

こんにちは〜☺️
本日は腱板損傷の予後と治療についてです。
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肩腱板損傷の予後と治療に影響する要因は何か?

●腱板損傷の予後については断裂サイズの拡大について理解する必要がある。
・腱板損傷は3年以内に約半数が断裂サイズの拡大を認める ・断裂サイズの拡大は新たな疼痛の発生に関与する可能性がある
・断裂サイズの拡大に活動度 (スポーツ参加や仕事)は影響しない
・腱板損傷には、一定の割合で無症候性腱板損傷が存在し、保存治療の鍵となる
●腱板損傷の症状に対する保存治療は、以下の項目がポイントとなる。
・肩関節求心性の向上(★★★)
・肩甲骨含めた患部外機能による運動コントロール(★★)
・心理社会的側面への配慮 (★★)

肩腱板損傷の予後と治療に影響する要因は多岐にわたります。一般的に以下の要素が重要だと考えられています。

  • 損傷の程度と範囲: 腱板のどの腱が、どの程度損傷しているかは、予後を大きく左右します。完全断裂か部分断裂か、また、複数の腱が損傷しているかどうかが重要です。

  • 年齢: 高齢者では、腱の修復能力が低下しているため、予後が不良となる傾向があります。

  • 活動レベル: 高い活動レベルを維持したい患者さんでは、より積極的な治療が必要となり、リハビリテーションも長期にわたる可能性があります。

  • 合併症: 糖尿病などの合併症があると、腱の治癒が遅れることがあります。

  • 喫煙: 喫煙は、腱の血流を悪化させ、治癒を妨げます。

  • 受傷からの期間: 受傷後、時間が経ってから治療を開始すると、腱の変性が進み、修復が困難になることがあります。

  • リハビリテーション: 術後のリハビリテーションを適切に行うことで、肩関節の機能回復を促進し、予後を改善することができます。

  • 患者さんの協力度: リハビリテーションに積極的に取り組む患者さんほど、予後が良い傾向があります。

  • 腱板の質: 腱板自体の質(変性の程度など)も予後に影響します。

◆腱板損傷の予後

● 損傷した腱板は、不活動によって縮や退縮などの変性を生じる。
●腱板筋の筋線維が脂肪組織に置換される“脂肪変性” を生じる場合もあり(図1)。脂肪変性の程度が大きい。
腱板修復術後の再断裂のリスク因子となる。
●損傷した腱板の断裂サイズは、3年以内に約半数が拡大し、新たな疼痛の発生や疼痛の残存に影響する可能性がある.
●断裂サイズ拡大に関連がある要素として、全層断裂かつ中断裂(1 ~3cm)であること3、脂肪変性3 棘上筋/ 棘下筋の縮”、糖尿病”、喫煙習慣” などがあげられる。
● 一方で、断裂サイズの拡大に、スポーツ参加や仕事内容の違いといった活動度に関係する要素は関連がないとされる。
肩を使うことを禁止するなどの過度な制限を加えて不安を助長させないよう注意が必要である。

◆ 無症候性障害の存在

これは、画像診断で腱板断裂が確認されても、痛みや機能障害などの症状がない場合があるということです。
無症候性腱板断裂の原因や、症状が出現するメカニズムについては、まだ完全には解明されていません。
しかし、加齢や肩への負担などが関与していると考えられています。
無症候性腱板断裂が見つかった場合、必ずしも治療が必要とは限りません。
しかし、定期的な経過観察を行い、症状が出現した場合には、適切な治療を検討することが重要です。

● 肩の腱板損傷には、画像所見にて健板断裂が認められても症状がない無症候性板断裂が存在する。
● 5 0 歳 代 の 腱 板 断 裂 で は 約 5 0 % が 無 症 候 性 で あ っ た と さ れ 、 6 0 歳 以 降 では 無 症 候 性 の 割 合 の 方 が 多 く な る。
●「断裂=痛み」ではないことをセラビストと患者が理解することが重要で、不安を切るような病態説明にならないよう注意が必要である。

◆ 腱板損傷の治療

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