シッコマン イン ザ パーティは黄色人種復興である
はじめに
シッコマン イン ザ パーティのファーストシングル「NYO SWORD」がリリースされた。この曲は差別へ対抗するまさにhip-hopらしいアジア人ならではの曲だ。
近年BLMなどで黒人差別の払拭を図る運動は今まで以上に活発化している。ただ、黄色人種差別に関するムーヴメントは未だ起こらない。
黄色人種差別の実例で言えば、アカデミー賞受賞式にてロバート・ダウニー・Jrの対応が物議を醸したのが記憶に新しいだろう。
ただ日本ではかなり擁護派も多く、問題としてはうやむやなまま話題の鮮度が落ちて今は聞かなくなった。島国ということや鎖国の影響からか、日本人にとって人種差別という概念はあまり定着していないように感じる。そこに警笛を鳴らすのが日本で生まれ黄色を卑下しながらも自分達に誇りを持ったリリックを放つシッコマン イン ザ パーティだ。
ここからは各MCごとにリリックを読み解いていこう。
尿人
尿人のラップスタイルはいとうせいこうを思い起こさせるオールドスクールなラップだ。42歳と新人にしては高齢なのも関係しているだろう。
歌い出しから強烈だ。
音楽を聴くのに人種や出身は関係ない。皆平等に恥を晒そうという心意気を感じられる。
一見すると自分の出身を膀胱と卑下していて、地元を大切にするhip-hopの考え方からは珍しいように思える。しかし彼らはシッコに誇りを持っているのだ。誇りを持っているものの生まれた場所、彼らにとって膀胱とはブロンクスのようなものなのだろう。
このリリックは女性リスナーには少し伝わり辛いだろう。男性用小便器にはシッコを床にこぼさないためにこのような注意書きがなされている。
このリリックからはマッチョイズムを感じられてしまい少し残念だ。
MCピス
彼はARuFa名義でインターネットライターとしても活動しており、その一環で公開したラップ動画は晋平太からも評価されている。まさしく期待のルーキーだ。
hip-hopはギャングが暴力なしで争うためにブレイキンやフリースタイルを利用してきた歴史もある。シッコマン イン ザ パーティはhip-hopの原点に深く根差したクルーであることがわかる。
漫才師などがよく「板(舞台)の上には魔物がいる」という。彼らにとっての舞台はチンコなのだろう。
これからhip-hop界だけでなく音楽界全体にシッコを撒き散らしシッコマン イン ザ パーティの黄金時代を築くという力強さを感じる。
野生動物は自分のシッコによって自分のナワバリを示す。これからのhip-hopは俺らのテリトリーだ。シッコが臭わねぇか?という意思表示だろう。
フック
これから俺たちがシッコで音楽界に革命を起こすという意思表示。デビューシングルならではのフックだ。
黄色人種であることは引け目ではない、武器だ。誇りを持って立ち上がれというメッセージを感じる。
糞が何に対してのメタファーであるかは論争を生むだろう。私は小便に対しての大便、つまり自分よりも力を持って鎮座する権力者への対抗だと捉えた。実にhip-hopらしい
急に居酒屋の話になり理解できなくなった人もいるだろう。だが居酒屋とシッコは切っても切れない関係にある。恐らく居酒屋は人間が最も多くシッコを生む場所ではないだろうか。つまり居酒屋とはシッコ(黄色)を生む場所、つまりアジアのメタファーだ。シッコマン イン ザ パーティは日本にとどまる気はないらしい。アジアに勢力を伸ばし精鋭たちで手を取り黄色人種の復権を目指しているのだ。
mimi-Zu
がなりのきいた声が特徴的なmimi-Zu。彼は普段のファッションにも中華服を取り入れたりとアジアに誇りを持っている様子だ。
他のMCは直接的に尿に関係した名前を名乗っているが彼だけは「みみずにシッコをかけるとチンコが腫れる」という言い伝えから来た名前だ。やはり自分たちの文化に誇りを持っているのだろう。
こういった一見するとコミックソングのようなグループは大体一発屋で終わってしまう。だがシッコマン イン ザ パーティは一度じゃ終わらない。ベホマはHPを完全回復させるドラクエの呪文だ。絶対に死なないという意志を感じる。2作目にも期待がかかる。
mC.SYOBESUKII
慶應義塾大学出身の高学歴であるmC.SYOBESUKIIはリリック全体で1番黄色人種の復興というメッセージを感じる。
開幕から早速力強いメッセージだ。自分の人種であることに誇りを持って強いと宣言する。まさに黒人が力を伸ばしたhip-hop的だ。
イギリス人俳優であるベネディクトカンバーバッチの7代前の先祖は奴隷農園を経営して財を成したという歴史がある。まさに差別への真っ向勝負だ。
CBN
彼のビジュアルはhip-hopからは程遠い。宗教勧誘に来たおばさんと揶揄されることもある。彼はそこに引け目を感じているのだろうか。ラップではなく歌い上げる形である。次のシングルでは彼のラップに期待したい。
まとめ
シッコマン イン ザ パーティはインディーズとしては異例のZeppでのデビューであった。私はゲリラで行われた彼らのデビューライブを見逃したのは悔やまれる。
この力強い黄色人種復興のメッセージに期待がかかる。
これからも彼らが作っていく尿道を追っていこう。