酒造大手のココがスゴイ!(1) 宝酒造
どうもこんばんは、よいどれクソメガネです。
いろんな日本酒コミュニティ/クラスタを観察しておりますと、様々な蔵の話題が出ます。
そんな中で、ちょっと個人的に感じている空気がありまして…
「小規模な蔵の話題には食いつきが良いけど、
大手酒造会社の話題には食いつきがあまり良くない気がする」
これ、個人的にはめっちゃ残念だなぁと思っておりまして。
「日本酒の価値向上に小規模蔵が寄与しているのは喜ばしいことだし、
そういう話題はたくさん話したい!」
とは思うのですけど、
「でも、日本酒産業を支えてるのって、なんだかんだ大手蔵じゃない?」
実際そこのところ、なおざりになってやしないですかい?
そんなこんなで、
「酒造大手って、実はこんなにスゴイんだぜ!」
ってことのエッセンスだけでもお伝えできればと思いますので、
ほんの3席ほど、お付き合いのほどよろしくお願いしやす。
(当初は「一席」って書こうとしたけど、長くなったので分けました…)
◆…で、酒造大手って具体的に何処なのよ?◆
そう、まずはココをハッキリさせることと致しましょう。
昨年度(2019年)のランキングデータはまだ出てないようなので、
一昨年度(2018年)の国内出荷量を使います。
1位:宝酒造 @伏見・灘
銘柄: 松竹梅、松竹梅白壁蔵、澪(スパークリング) など
2位:白鶴酒造 @灘
銘柄: 白鶴、まる、忠勇、別鶴 など
3位:月桂冠 @伏見
銘柄: 月桂冠、月、THE SHOT など
上記がTop3となっていて、少し開いて以下のような酒造が続きます。
大関、日本盛、小山本家酒造(金紋世界鷹)、菊正宗、
旭酒造(獺祭)、黄桜、オエノン(大雪乃蔵)、朝日酒造(久保田)、
八海醸造(八海山)、辰馬本家酒造(白鹿)、菊水酒造、
加藤吉平商店(梵)、剣菱酒造、小西酒造(白雪)、沢の鶴酒造、
中埜酒造(國盛)、清州櫻醸造(清洲城信長)
(※売上高と出荷量のデータが混在していること、4位以降の順位データがみつからなかったことから、あくまで順序はさておき参考である点ご了承ください)
というわけで、この記事で『酒造大手』は一旦、上記Top3を中心にその他は適宜、といった定義で取り扱うこととして、進めさせていただきたい所存、ということでよろしくお願いしやす。
また、こっそり所在地も書いてますが、誤解が無いように言うと
「酒造大手だって、地酒なんだからねっ」
ってところは、読み始める前に知っておいてほしいポイントですね。
全国の大消費地の近くに工場を散在させている国内大手ビールメーカーと、日本酒メーカーの大きな違いですゆえ。
(まぁ、大手ビールメーカーでも各工場の特色をプッシュする傾向が出てきてもいますが、それはまた、別の、お話)
では、ここからは、Top3の各酒造をご紹介していくと致しましょう。
ランキング記事じゃないので、上からいっちまいやしょう!ということで、この記事ではまず、1位の宝酒造をご紹介します。
関連ページ・参考記事:
2018年 日本酒で16年ぶり首位交代、宝酒造がトップに(日本経済新聞)
2016年 清酒メーカーの経営実態調査(帝国データバンク)
【基本データ】宝酒造
会社名: 宝酒造株式会社 https://www.takarashuzo.co.jp/
創業: 1842年(天保13年)
本社所在地: 京都府京都市
酒蔵所在地: 京都市伏見区、神戸市東灘区(魚崎郷) など
海外清酒蔵: アメリカ(カリフォルニア州)、中国(北京市)
銘柄: 松竹梅、松竹梅白壁蔵、澪 など
(参考:公式サイト ラインナップ)
宝酒造と言われると、焼酎・チューハイのイメージが強い気がしますが、
日本酒蔵としては
「伏見と灘のハイブリッド地酒蔵」
「海外に清酒蔵を複数持つ」
「居酒屋の定番清酒と言えば『松竹梅 豪快』」
「醸造用アルコールを自社で生産、販売している」
このあたりがキーポイントとなる感じですね。
①『白壁蔵』がスゴイ
前述のとおり、「日本三大酒処のうち2ヵ所(伏見と灘)に地酒蔵を持つ」という特色を持つ宝酒造ですが、そのうちの一つである灘の『白壁蔵』は「大手メーカーなんてどうせ、『工場生産』で機械的・画一的にやってんでしょ?」という先入観を持たずに知ってほしい酒蔵になっています。
リンク:白壁蔵 公式サイト
細かいことは公式サイトや以下の記事を見ていただきたいところですが、以下のキーポイントを重点に見てみてください。
・『手作りの原理』を再現する機械設備
・伝統の『生酛造り』へのこだわり
・低アルコールスパークリング清酒の雄『澪』の生産拠点
関連ページ・参考記事:
・スペイン人ソムリエが感動!「白壁蔵」の伝統も重んじる最先端酒蔵技術!
・松竹梅白壁蔵のパリ営業所、梶さんにインタビュー【前編/後編】
②『澪』がスゴイ
…はい、キーポイントからそのまま続いちゃいました←
澪と言えば、「低アルコールの発泡性清酒」の代表格の一つですね。
リンク:澪 公式サイト
今ではすっかり定番になっている澪が発売になったのは、2011年6月21日。
同ジャンルのパイオニアと言えば、10年以上先発(1998年発売)の一ノ蔵『すず音』ですが(参考記事:すず音20周年サイト/開発秘話)、居酒屋等で最もよく見かけるのは澪ではないでしょうか。
すず音は瓶内二次発泡の1回火入、澪は火入(2回?)後に炭酸ガスを注入しているタイプ。
造り方は対照的なラインナップですが、どちらも低アルコールで甘めの味わいなのは共通していますね。
関連ページ・参考記事:
・松竹梅白壁蔵「澪」スパークリング清酒 新発売(プレスリリース)
・【開発秘話】年間100万ケース売れている宝酒造の発泡性清酒『澪』(@DIME)
・【クリスマスに飲みたい】スパークリング日本酒・澪をスーパーで買える果物でアレンジして飲んでみた。(SAKETIMES)
③『追い上げ』がスゴイ
冒頭で引用した記事ですが、2018年に、それまで16年間不動の首位だった白鶴酒造を抜き、国内出荷量のトップに立っています。
日本酒業界全体の国内出荷量が落ち込むなか、前年より落ち込んだ白鶴を抜いてトップに躍り出たかたちですが、宣伝・販売方法や商品開発など、時代に合わせて変化していこうという施策の成果が出たということでしょう。
…え、ここだけ全然面白くない? 間に合わせっぽくて悪かったな!
というわけで気を取り直して、次の白鶴酒造に続きます。
See you next note!!
Vol.2:白鶴酒造 Vol.3:月桂冠