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てくてくエンジェル昔話

最近、「てくてくエンジェル」が駿河屋さんで安く売られています。
これは1997年にハドソンから発売された育成散歩計で、歩くと画面内のキャラが成長するゲームというか、健康グッズ?です。

発売されてから、もう27年も経っているのですね……
せっかくなので開発していた当時の昔話を書いてみようと思います。

1997年4月――
当時、初代たまごっちが大ヒットしていました。
それはもう、社会現象になるくらいのブームだったため、ハドソンの偉い人から
「なぜウチでこういう商品を出せないんだ! 長山、お前企画者なんだからなんか考えろ!」
と、無茶振りをされてしまいました。

このとき既に、猫を育てるゲームとか、恐竜を育てるゲームなど、たまごっちの後追い企画があふれていました。「今更何を出しても真似になります」と、いったんは断ったのですが、「でも、なんかあるだろ?」と押し切られ、仕方なく「ゴールデンウィークの宿題にさせてください」と、引き下がりました。

その後、だいぶ悩んだ末「育成散歩計」というアイディアを思いつき、ゴールデンウィーク明けにコンセプトシートを提出しました。

たまごっちと歩数計をくっつけるという、単純なアイディアでしたが
当時はまだ、ゲームと運動を結びつけるような商品が出ていなかったため、社内からも反対意見が多く出ました。

それでも、みんなで協力して半年ちょっとで商品を完成させ、同じ年の12月18日には発売することができました。

そのあたりの顛末は、公式ホームページのアーカイブ内にある
「開発秘話」に書かれているので、ぜひ見てください。

また、さらに詳しい話は、総合科学出版から出ている「ゲーム作りの発想法と企画書の作り方」という本に文章を載せましたので、興味のある方はぜひ。

この「てくてくエンジェル」は、最終的に250万個売れました。
たまごっちほどの大ヒットではありませんでしたが、それでも「ポケットピカチュウ」や「ドラゴンクエスト あるくんです」などの歩数計ゲームの先駆けになったと思っています。

これは聞いた話ですが、某歩数計メーカーの社長さんが、社員に向けてこう言ったそうです。
「なぜウチでこういう商品を出せないんだ!」

……話が綺麗にループしていて、ちょっと出来過ぎな感じです。

てくてくエンジェルは、1999年2月、日経産業新聞優秀賞を受賞しました。
都内のホテルで授賞式が行われ、私も発案者として出席しました。

このときの特別審査員は、作家の小松左京さんとデザイナの森英恵さんでした。
私がプレゼンをすると、森英恵さんは「素敵ね」とほめてくださいました。
しかし、小松左京さんは私の顔を指さして

「こんなもの、私はとっくの昔に思いついていた!」

と、すごい剣幕で怒鳴りつけ、すぐに去って行かれました。
当時はちょっとショックだったのですが、今となっては良い思い出です。

最後に、私が1997年のゴールデンウィーク明けに提出した「コンセプトシート」を貼っておきます。
イラストのみ、正式版に差し替えてありますが、文章などは当時のままのものです。

てくてくエンジェルコンセプトシート


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