海外旅行は不甲斐ない自分と対峙する行為か?(後編)
そもそも、noteを完結しないカタチでアップロードして良いのかすら解りかねるのですが、facebookへの投稿と同様の装丁でnoteに埋め込んでおきたいと思います。もし読んでくださる方が居られたら、なんかすみません。
承前)
マニラ市内での観光の部分は主題ではないので駆け足になる。
雨季を前にした曇天の昼頃に宿泊しているホテル前にてKとMariel嬢と合流し、3人でジプニーと呼ばれる乗合いタクシー(この車内でもスマホなどを取り出すのは厳禁とのこと)に乗り込み、MTRの満員電車に揺られ、時にはタクシーを捕まえては涼みながら移動し、観光用のロバタクシーも体験して、日没までに無事に4ヶ所の観光地を周遊することができた。
手荷物もiPhoneも一眼のデジカメも手元に残されており、勿論、ホールドアップも無かったが、観光地から一本裏手に進もうとすると「コッチはアブナイからダメ!」と警告を発してくれたMarielのお陰だったのかも知れない。
晩御飯を3人で済ませ、カラオケ店に出勤する彼女と別れてから夜の算段をしている時に「やはり俺が一緒で良かったな」と放たれた一言が、異国にいる自分の胸に引っかかった。
確かに、海外生活の長いKのように英語での会話が満足に出来ず、情けないかな彼を介して3人で会話をしていたようなものだった。その何とも言えぬ悔しさ或いは蟠りを引きずったまま、入国から出国まで30時間に満たないフィリピンでの短い滞在を終えて帰路に着いた。
目的の1つだった、スターアライアンスのフライトマイルだけは両の手から逃すことなく収めて…。
◇
そして5月の連休が始まった頃、フィリピンでの任期を終えたKと1ヶ月半ぶりに都内で飲むコトになる。(共通の友人が多くないことから、奴とはサシで飲むのが基本的なパターン)
その席で、(嫌味ではないのだが)すこし気に障った件の一言について、つい自分なりの見解を投げつけておきたい衝動に駆られてしまうのだった。
美味い酒が意識内に入ってしまうと「抗うことは無意味だ」とボーグ集合体も言っている。スタートレックで。いや、酒は関係ないが。
まず自分の英語力が平均的な日本人よりも拙いレベルなのは認めるし、それによって双方の知人であるKを必要以上に頼ってしまったのは紛れもない事実である。
それが前提ではあるが、Google Map には全ての観光場所が登録されており、Marielに教えて貰おうと考えていたタガログ語の基本会話や単語、各種エンタメの類もiPhoneのメモやカメラロールに入っている。将又、メイドインジャパンの手土産などで彼女と盛り上がっても良いであろうことを酔いの口上でつらつらと伝えた。
Marielは待ち合わせの瞬間までKの参加を知らずに驚いており、それと同時にビッシリと文字が書かれた何枚かの紙片を鞄に仕舞っていた。
その紙片がふたたび取り出されるコトは無かったが、彼女も日本からくる客人のために様ざまな準備をしてくれていたのは想像に難くない。
さらには、自分が北京語をまったく喋れなかった頃に中国人の女性と現地(東莞市の長安だったか)の田舎を半日観光する巡り合わせになった時の経験から、「相手に敵意さえ持たれていなければ何とかなる」という持論まで酔いに任せて開陳した記憶さえも残っている。
もはや「お前の母ちゃんデベソ」くらいに何でもアリの放銃で、そこで自分の手持ちの武器は尽きた。
だが、そういう相手とは四つに組まないのがKと云う男だ。腹立たしいくらいに落ち着いて話し始める・・・。
そもそも午後半休などは申請しておらず、なんと土曜日は普段どおりの休暇であったと言うのだ!
続けて、「(カラオケ店の誰にするかは決めていなかったが)最初から3人で市内観光をする腹積りだったが、それでは面白くない。お前が初めて訪れる国でどんな観光プランを立てるのかを知りたかったので、プランが固まるまでは俺の参加を伏せておいたのだ」と明かすのだった。
さらには、そもそも地方からマニラに出て来た若い女性が観光地など知る筈がないし、行くような余裕もないだろう。お前が最も行きたがっていた(小さな円形公園)パコパークが彼女にとっても一番印象深かったらしいぞ、と総括しやがったのである。
まさに無手勝流。
マニラ滞在の数ヶ月間で、その界隈を代表する遊び人の称号(パロパロ)を手に入れた男である。
どうやってもコイツには敵いそうにないな・・・と、すっかり常温になった燗酒の純米酒を流し込み続けた夜だった。
※ 上部の見出し画像が、市民の憩いの場であるパコパーク
そして手の長いMariel嬢と遺跡(か廃墟か住宅)
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