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ポリ塗装を剥がしてラッカー塗装しよう

人生で3回目の楽器の塗装です。

初回は中学生の頃、エレキギターのポリ塗装をガリガリと剥がしてスプレーで塗装。ハードオフでジャンク扱いされているレベルの仕上がりでした。
いまでもハードオフで同じような楽器を見ると懐かしく、心温まります。

2回目は、社会人になってから、エレキベースのポリ塗装を剥がしました。
時代も進み、知恵も付いたことで、アイロンで温めてスクレーパーで剥がします。
なかなか綺麗にできました。

そして今回。
フジゲンのポリ塗装ベースを剥離剤を用いて剥がしていきます。
うまくいくかな?

まずはあらゆる部品を外します。
そして、重要なこと。目を保護するゴーグルなどを着用しましょう。剥離剤は劇薬です。目に入ると失明の危険性があるものです。手にちょっと付いただけでも、痛い痛い!洗い落とせ!ってなるレベルのものです。
水中メガネとか、サバゲーゴーグルとかなんでも良いので、ぴっちりと目を覆えるものを。
ちなみに、普段からメガネしてるからこれでヘーキヘーキとかは全然ヘーキじゃありません。その普段から使っているメガネに飛び散ると一瞬でコーティングが剥がれてレンズがタヒにます。
そして、隙間から目に飛んできたら、、、あとは解るね?


さて、使用した剥離剤はこれ。ジャズベ1本のボディ裏表で2kgが目安です。
これ⤵を2本用意しても良いですし、後述のハクリパワー4kgでも良いでしょう。

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たっぷり塗って1時間ほど放置でこんな状態に。

クリア層とカラー層の一部は取れました。

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もう一度一時間。

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ここで剥離剤が無くなってしまったので、もう1本注文しました。1kgではここが限界。
せっかくなので、種類を変えてみます。
ちなみにスケルトンはアルカリ性、ハクリパワーは中性です。
木材にアルカリ性のものが浸透すると濃い茶色になってしまうのです。そのため、今回は中性に。

こんな感じにまで取れました。
素地に見えますが、カラー層の下にあるシーラー層はかなり頑固で諦めました。なので、スケルトン剥離剤のままでも、木材までは到達できないかなあと。

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塗布をしてしばらく放置するのですが、さらに放置をすると乾燥して薬剤と塗料がカサカサになります。この時点で、剥離できているのはトップのクリアと色味のあるポリ層、そしてその下の下地塗装はうーん、まだ残ってるな。木材まで影響が出るレベルと考えると、さらに剥離の工程を繰り返す必要がありそうです。
ちなみに、剥離力はどちらも同じくらいでした。

また、放置すると乾燥し、紙は溶かさないという性質から、上の写真のように段ボールの中で行うと良いです。たれ落ちた塗料や薬剤、小手でこすり取った塗料と薬剤をダンボールとかになすりつけておくと、1日くらいでカサカサに乾燥し匂いもなくなります。意外と使いやすいかも。けれど、お子さんがいる環境とかだと、絶対に触らせないように。
また、間違ってもビニール袋とかは敷かないように。薬剤で溶けます。
新聞紙については何層も敷いていた方が良いです。

※万が一を想定し、机は汚れたり塗装が剥がれても良いものにしましょう。もし、染み出した剥離剤が付いたら、、、あとは解るね?

さて、剥離が完了し、写真では綺麗に見えても、シーラー層はぼこぼこ、部分的に素地が出ているところもあるような感じです。
というわけで、こういうやすりを使って整えます。

残った薬剤やシーラー層はかなり柔らかいため、一般的な紙やすりでは一瞬で目詰まりしてしまうんです。なので、網目タイプ。水を掛けたりしながら240番でゴリゴリ行きましょう。
水を掛けずに行うと、気づけば部屋一面にうっすらと削った塗膜の粉が舞い降りていることでしょう。
240番ならば、薬剤やシーラーはあっさり取れますが、アルダー材はなかなか削れません。削れてもツルッとしている感じ。

次にスポンジやすりで表面整えます。500番くらいでOK。
水を付けながらスリスリしましょう。

そして、濡れ雑巾で拭き掃除(水洗いしても良いです)をした後にしっかり乾燥させてから、クリアラッカーのプライマーを吹きます。
ジャズベ1本に対して、スプレー400ML1本でギリギリ足りました。吸い込みの状況によって必要量が異なるでしょうから2本あってもいいかも。

また、今回はクリア塗装ですからクリアプライマーですが、塗りつぶしの色にするならば、ホワイトなどの下地塗料が良いです。理由は、塗りつぶし塗料でも木部の色が透けてきて変色してしまうため。
あと、悪いことは言わないから、マスカー買っとくんやで。部屋が塗装の粉だらけになるで。

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しっかり乾かしてから、本当にしっかりと乾かしてから、スポンジやすりの500~1000番くらいで軽く整えます。この感じでも十分なくらいカッコいいやん。
乾ききる前にスポンジやすりをすると白く変色するので注意です。目安はシンナー臭が消えたかどうか。
忘れたころに見てみたらシンナー臭が消えていた。そんなレベルです。

では、カラーの吹付へ。

タミヤカラーのクリアブルーをチョイス!
タミヤカラーはキレイに塗れるのですが、他メーカーのラッカーと比べると剥離しやすい印象ですが、この特性を生かして早くビンテージ風になってくれるのでは。
どうなるかな?

タミヤカラー2本でこの感じ。
色むらがあります。ちょっと足りなかったかも、、タミヤカラーは100MLですから、3~4本塗ってもいいかもという感じ。木の色(黄色系)が透けるため、青+黄で、少し緑がかった青という感じです。カッコいい。
また、この時にクリアスモークカラーをエッジ部分に吹いて、サンバーストっぽくしてもいいかもしれないですね。お好みで。

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こまけえムラは、まあいっかということで、クリアを吹いて、しばらく乾燥(1週間くらいでシンナー臭がなくなる)。ラッカー塗装なのでここで絶対に焦ってはいけません。ゆっくり乾燥するものなのです。

シンナー臭がなくなる=硬化したということなので、その後に、2000番くらいのスポンジやすりとバフ掛けをして完成!

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キャビティの導電塗料はこれを使いました。ちょっとで良いのです。

というわけで、再塗装完了。

再塗装人生を振り返ってみて、やすりで剥がす、熱とスクレーパー、剥離剤と体験できましたが、それぞれこんな感じの印象です。

・剥離剤→一番綺麗。剥離剤一択。けど剥離剤代が掛かるのと、劇薬を扱う大変さがある。
・熱とスクレーパー→そこそこ綺麗。だけど、剥がす際に傷がつきがちなので玄人向け。バスウッドなどの柔らかい材ほど難しい。コストは安い。
・やすりで削る→論外。コストは安い、失敗は少ない代わりに、果てしない時間と根性が必要。焦ってガリッとやると糸冬了。この時間と手間の分働いて新しいベースを買おう

予備知識として、剥離剤を使う際は、スクレーパーはこれを使いましょう。普通の樹脂タイプだと溶けます(かといって金属だと木部に傷をつけてしまう)。凄く尖っているのであらかじめ角を丸めておくと良いです。



そして、弾いて見ました!

第一印象は、暴れる!
ちょっと強く弾くとドン!と出て弱く弾くとへナッとなるので難しい。ポリの方がモダンな輪郭のある音というかそんな感じ。

また、膜一枚あった音がハッキリと(1000Hzあたりが出るようになったような)、そして、古臭い感じにミドルで出てきているような(300Hzとか700Hzとか)。
そのかわり、ローエンドのあたりは少し減ったような感じですが、いつもアンプでカットするあたりなので気にしない。
ハイエンドの方は、もともとそのあたりが出るピックアップではなかったので解りません。もしかしたらポッドが250kだからかも?
好みなんでしょうが、良いんじゃないかなあと感じます。

もしかすると、ラッカーもしくはオイルフィニッシュのボディ+ポリ塗装のネック+パッシブというのは相性が良いのかも?

さておき、ここで確実に言えるのは、塗装が変わると音も変わる。そして戻せないこと。
ポリ塗装は~って言われるけど、現代ではビンテージ除くと、殆どのミュージシャンがポリ塗装使ってるような。

この状況を考えると、エフェクターやアンプのイコライザーが進化してますから、引き算できる音の方がいろんな環境下でも扱いやすいという時代なのかもしれないですね。良し悪しではなく。

ともかく、個人的にはアンプとかなにやらを弄らなくても好みに近い音が出るようになったので大成功!という感じです。
これから、塗膜が割れたり剥がれたりするのが楽しみですね~


以下は、サウンドを変えたいなら先に試してみて欲しいことと、こんな塗料も面白いかも?というアイデアのようなものとなっております。
ご購入頂けますと、小生、100円コーヒーを美味しくいただく仕組みとなっております。


ところで、サウンドを劇的に変えるということでしたら、塗装変える前に試してみて欲しいことがあります。
もし、愛用のベースに250kポッドが付いているのならばこちらの記事のようにポッドを変えてみてください。こちらも効果大!


塗料の余談(2021.7追記)

塗膜を薄く薄く仕上げるアイデアを思いついたので書いておきます。
他の趣味でミリタリーやプラモデルの分野も嗜んでおりまして、そちらの界隈では、いかに塗装を薄く、また、強い塗膜を作るかというところがポイントになっていたりします。
そこでよく使われるのはこういう塗料です。

インディキャロムというメーカーの塗装スプレーです。
(次点でラストオリウムのカモフラージュシリーズも)

共通するのはラッカーとは比にならないレベルの極薄かつ、強固な塗膜。
深く高級感のあるつや消し仕上げ。
数秒で乾く、最高の作業性。
しかし少しお高め。
こんな塩梅。

インディの方のカラーラインナップはこんな感じ。

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ミリタリーベースなので、アースカラーから金属素地、ブラック~グレーというもの。
実際に塗ってみて頂くとそれぞれとても深みのある表情ということが分かって頂けるかと思います。凄いのです。ホビーカラーとは一線を画する質感。

エレキ楽器だとこういう方向性ってあんまり採用されてない分、けっこう格好良く目立つのではと思ってみたり。

キャロムの方は、金属素地からブラック系に寄っていまして、特に金属素地系はステンレスシルバーチタニウムシルバーガンブルースチールブラックスチールと、音楽系のカラー知識からはおよそ想像も付かないようなラインナップもあります。

ガンブルーのエレキもステージ映えしそうでカッコ良さそうですねえ~

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huaaNOTE
ちぎっては投げ、ちぎっては投げ、試行錯誤を繰り返して、楽しかったり上手く行ったところを書いていたりします。 貴重なサポートを頂けますと、なおさら色んなことを試して書きます!