ピッチング動作は初動負荷マシンの組み合わせで説明できる
初動負荷理論に詳しくない・やったことがない人でも、「初動負荷トレーニングはピッチャーの怪我予防になる」くらいの話は聞いたことがあるだろう。でも、「それはなぜか?」と問われれば、答えに窮するはずだ。
私は今回の記事を、その答えに近いものを開示するために書いた。
参考までに、初動負荷トレーニングを実践している投手たちの声を聞いてみよう。
NPB最年長投手であった中日ドラゴンズ・山本昌投手は「初動負荷トレーニングをし始めてから十数年間、肩肘の不安が全くなかった。これはとても大きかった」という意味のことを述べている。特にアマチュア投手は肩肘の痛みを抱えながら投げている選手が多いので、初動負荷トレーニングは彼らにとっての福音になりえることがわかる。
また、同じドラゴンズの岩瀬投手も長らく初動負荷トレーニングに勤しんできた選手で、こちらも故障知らずの鉄腕(15年連続年間50試合登板、通算セーブ数NPB記録保持者、シーズンセーブ数46のNPB1位タイ記録)として知られている。
さらに、同球団の山井大介投手は2006年シーズンが肘の痛みで一軍登板なしに終わるなど苦しんでいたが、オフにワールドウィングで「一切肘が痛くなくなって、いきなり投げられるようになり、うれしくてその日のうちに100球以上投げ込んでしまった」という経験をしている。
ほかにも、韓国プロ野球のベ・ヨンス投手は肘の靭帯を手術(トミージョン)し、医者や専門家から「今後野球選手としてボールを投げることは難しいだろう」「今後、ボールの球速は140キロを超えないだろう」と言われたほどのどん底の状態にあったが、2011年秋から取り組んだ初動負荷トレーニングで見事復活。球速も145キロを超えるまでに戻り、2012年シーズンには12勝8敗、2013年には14勝4敗で最多勝タイトル獲得という劇的なカムバックを果たした。
最近の例だと、台湾プロ野球統一ライオンズの吳傑睿選手が、右肩脱臼→関節唇の手術を受けたが良くならず、ボールを10メートルも投げられないほどの状態にあったが、鳥取のワールドウィング本部での10日間程度のトレーニング・練習で60メートル以上投げられるようになり、おまけに打球飛距離も伸びてロングティーで平均+40mの飛距離アップを果たした…という例があった。2019年7月11日の「猫の穴ニュース」にそのビフォーアフターの動画がある。
このように、「初動負荷トレーニングをやるとケガしない、ケガがすぐに治る、よそでダメと言われたケガも治る」という事例はかなり多数存在する。初動負荷トレーニングが奇跡のトレーニングであると言われるゆえんである(そして、噂だけが独り歩きしてこのトレーニングが胡散臭いと思われてしまう由縁でもある)。
なぜ治るのか、というメカニズムを説明しようとすると長くなりすぎるので、今回は「初動負荷マシンと投球動作って似ているよなあ」と思うポイントをイラストにまとめてみた。
以下の絵を見てほしい。
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