「うで体・あし体」を生み出しているもの:なぜ左右差が生まれるか、左右差をどう利用すべきか
今回は、「うで体・あし体」について。
私はこの分類(というよりは2つの方向性)にある程度の妥当性を見出している。
詳しくは鴻江先生のご著書を読んで頂くとして、「うで体・あし体を生み出しているもの」「それをどう利用すべきか」について、私の考えを述べる。
①人間の身体の中は、左右非対称である。具体的には、心臓の形と位置、横隔膜の形状、肝臓の位置、胃の位置、内臓の向きなど。
(引用元:wikipedia『消化器』)
となれば、アスリートでも非アスリートでも本来、手足の使い方に微妙に左右差があって然るべきではないだろうか。世界中で右利きの割合が高いことや、脳機能の左右差の存在もそれを裏付けている。
野球でも、左のアンダースロー投手のリリースポイントが右投げのそれほど低くなかったり、右打者の打ち方がぎこちなくガチャガチャしがちだったり、比較的滑らかに流れるように投げる右投手と比べると左投手は投球フォームが躍動的(ダイナミック)に見えたり…といった左右非対称性がみられる。
その他、フィギュアスケートのジャンプの回転方向がほとんど左回りだったり、ゴルフで左打ちがやけに少なかったり(左利きでも右打ちを選ぶ人が多い)…など、とにかく枚挙に暇がない。
②どちらかといえば、人間の体幹部は「右側」が重い。主に肝臓の重さのため。成人男性だと肝臓は1-1.5kgの重さ(体重の約50分の1)がある。肝臓の大部分が体幹の右側に詰まっており、さらに、肝臓と同じ高さの逆サイドには、ほぼ中身が空洞である胃が位置している。ということは、人間の身体というのは、体幹部の右サイドが重いがゆえに、放っておくと「身体重心に対して右側に回ろうとする」ものではないだろうか。
③「放っておくと身体重心に対して右に回る」のならば、それに対して「体幹を引き締めることによって、身体重心に対して左に回る動きを生み出す」ことで釣り合いが取れる、と考える。
つまり、
人間の身体の中では、「体幹部の右側が相対的に重たいことにより生じる、右側に回ろうとする力」と、「体幹を引き締めて左側に回ろうとする力」とが、常に綱引き状態にある
…と考えることができる。要するに、「右回りの力が勝っている状態」があし体、「左回りの力が勝っている状態」がうで体である。
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