「客観的な変化量」に加えて、「主観的な変化量」「実質の変化量」も考えるべきだ
●「主観的な変化量」「実質の変化量」という考え方
ボールのトラッキングデータを確認して、「客観的な変化量」をチェックすることは、当然重要である。
ただ、ボールを打つ主体は打者なので、「打者の主観」も同時に考える必要があると思う。
つまり、物理的に測定できる「客観的な変化量」と、打者の主観によって変化する「主観的な変化量」の両方を考えたいということだ。
これによって、客観と主観を突き合わせた「実質の変化量」が分かるのではないだろうか?
例えば、リリースポイントが低い右投手のシュートホップ系のボールは、右打者の外寄りやや低めのコースに投げると割と簡単に打たれるが、インハイに投げ切ればかなり打たれにくい。
これは、トラックマンやラプソードで計測できる「客観的な変化量」がほとんど同じであっても、打者の感じる「主観的な変化量」が異なるためである。
●「主観的な変化量」を左右する要素のリスト
①リリースポイントの高低効果
・リリースポイントが低い → 主観的なホップ変化量が増す
・リリースポイントが高い → 主観的なホップ変化量が減る
②高さ効果
・高め → 主観的なホップ変化量が増す
・低め → 主観的なホップ変化量が減る
③イン・アウト効果
・右対右でのアウトコース → 主観的なスライド変化量が増す
・右対右でのインコース → 主観的なシュート変化量が増える
④リリースポイントの横位置効果
・右投手で、リリースポイントが三塁側寄り → 主観的なスライド変化量が増す
・右投手で、リリースポイントが一塁側寄り → 主観的なスライド変化量が減る
⑤フォーム効果
・フォームがゆったりで勢いがない → 主観的な球速が増す
・フォームに勢いがある → 主観的な球速が減る
⑥出どころ効果
・ボールの出どころが見づらい → 主観的な球速が増す
・ボールの出どころが見やすい → 主観的な球速が減る
⑦連続効果
・全く同じ球を続ける → 主観的な球速・主観的な縦横変化量がともに減る
⑧エクステンション効果
・エクステンションが大きい → 実質の球速が増す
・エクステンションが小さい → 実質の球速が減る
⑨対比効果
・高めの後の低めの球 → 主観的なドロップ変化量が増す
・低めの後の高めの球 → 主観的なホップ変化量が増す
・インコースの後のアウトコースの球 → 主観的なスライド変化量が増す
・アウトコースの後のインコースの球 → 主観的なシュート変化量が増す
・遅い球の後に投げるボール → 主観的な球速が増す
・速い球の後に投げるボール → 主観的な球速が減る
●活用例
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?