あまりにも曖昧な「インサイドアウトのスイング」という表現の意味とメリットをはっきりさせる
「インサイドアウトのスイング」あるいは「インサイドフロントのスイング」という言葉は、野球の打撃指導で一般的に使われている。
例えば、
「あの選手はドアスイングだから、もっとコンパクトに、インサイドアウトのスイングをさせるべきだ」
「インサイドアウトでバットが振れている」
「両脇を締めて、バットをインサイドアウトに出しなさい」
といった具合だ。
しかし、
「インサイドアウトのスイングとは何ですか、説明できますか」
「インサイドアウトのスイングができると何が良いんですか」
と訊かれると、多くの人は言葉に詰まるのではないだろうか。
文字通りに意味をとれば、「インサイド→アウトサイド」、つまり「インコースからアウトコースへ」「身体の近くから身体の遠くへ」という意味に解せる。
しかし、よく考えてみれば、どんなバッターでもバットは身体の近くから遠くへと振り出すのだし、わざわざ身体の遠くから近くへとバットを手繰り寄せるようにしてスイングするバッターなどまずいない。
つまり、そもそも「インサイドアウトのスイングができている・できていない」という表現は、そのままでは何も指していない、中身のない表現だと私は思う。誰もが一応は「インサイドアウト=身体の近くから遠くへとバットが出ていくスイング」をしているからだ。
しかし実は、少し工夫するだけで、その意味をはっきりさせることができる。
この記事では、日本の野球界であまりにも曖昧に使われ過ぎている「インサイドアウトのスイング」という表現の意味を、はっきりさせておきたい。
「インサイドアウトのスイング」とは何か?
2通りの定義ができる。
インサイドアウトのスイングとは…?
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