ねことお月見。
「にゃ〜ん、にゃ〜ん。」普段とは少し違う、やわらかく誘うような声が、奥の部屋から聞こえてきました。
わが家には2人の兄弟ねこがいます。
片方はおっとり(毛がふさふさのおもちゃを目にした時だけ、いきなり獣になるからびっくり)、もう片方はやんちゃ(文字通り)という対照的な2人です。
昨夜の出来事です。声の主はおっとりちゃん。
普段は静かに眠っていることが多いのに今日はどうしたんだろう、と思って声のする方へ行ってみると、窓の外がいつもよりぽわ〜っと明るかったんです。
近づいて網戸越しに見上げてみると、とっても綺麗な月がやさしく力強く、こちらを照らしてくれていました。
「もしかして、お月見に誘ってくれてるのかな?ロマンチック…!きゅん。」
なんて思いながら誘われるがままに座ると、おっとりちゃんもひざの上に乗ってきて、電気もつけずにそのままゆったりと月明かりを2人で堪能することに。
胸元を優しく撫でると、目を瞑ってゴロゴロと言いながら見上げてきて、とっても気持ちよさそうです。
すると、好奇心旺盛なやんちゃんが「なになにー?仲間に入れてー!」とテンション高めにやってきては私たちの周りをうろうろしだして、特に何もないことがわかると不満げな声を出しながら戻っていきました。
というのを2、3回繰り返したころ、急に後ろから網戸に向かってパンチを繰り出すやんちゃん。
私には見えない何かが見えているのかとちょっと怖くなったのですが、よーく目を凝らしてみると、網戸越しに1匹の蚊がいたんです。
私たちの熱を感知して、腹ごしらえにきたようです。でも残念。この網を超えてくることはできません。
すぐに飽きるやんちゃんは、また不満げな様子でリビングに戻って行きました。せわしないなぁ。でもかわいいから許しちゃう。
それから少しの間は、おっとりちゃんと2人でゆったりタイム。程よく入ってくる冷たい風も心地よくて少しうたた寝し始めたころ、ついにおっとりちゃんも、まだあきらめずにこちらに立ち向かってきていた蚊に気づき、興奮し始めます。
何だか私も、網戸越しとはいえすぐそこに蚊がいるって思うと刺されてないのに首やら顔やらがかゆくなってきて、そこでお月見は終了。
今日が中秋の明月なんですね。
もしかしたらおっとりちゃん、それを肌で感じていたのかもしれません。だとしたらステキな感性だなぁ。普段の繊細さもうなずけます。
1日前でも、充分きれいでした。
今日はもっと、きれいなのかな。
今夜は私から誘ってみようかな。