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40代半ばの母を、30歳で亡くした私は。 (#創作大賞2022 応募作)
2020年2月、私の母が亡くなった。
まだ40代半ばだった。
母から最期に来たメール。
「プードルいらない?けっこう高かったやつなんだけど」
そして、私が最後に返した返事はこうだ。
「犬は飼わないよ。」
この頃母はもうボロボロで、病気の影響で片目が見えていなかったそう。40代で上の歯は総入れ歯。当然ベッドの上だっただろう。
なぜ母はこんなメールを送ってきたのか。わかっている気もするけど、まだわかっていないふりでもしていようかな。
両親は、16歳で私を産んだ。
クスリに溺れる母。
オーバードーズは日常茶飯事で、外に出れば男を作って帰ってこない。
全てを暴力で押さえつける父。
母との離婚後すぐに母の友達と再婚し、その人が突然母になった。
小さい頃、託児所で1人泣いて過ごした夜は絶望だったし、小学生のころにはもう「私ってなんのために生きてるんだろう。」という考えが、私の心に巣を作り始めていた。
家に本当の居場所がなかったから、チクチクと嫌がらせをされる学校の方がまだましだった。
いつだって私は蚊帳の外。家でも外でも、なんだか上手く輪の中に入れない。
いろんなことがうまくいかなくて、ドロドロしたものが心の中にどんどん溜まっていく日々。
見ないふりをして、男性に溺れることで飢えをしのいでいた時期もある。
そして今、私は32歳になった。
旦那さんがいて、ねこ2人がいて。
大切な家族がいる。
なんとか乗り越えてきたいま、許せることも、いまだに一生許せないと思えることも、どちらも抱えて生きている。
私より幸せな人はたっくさんいて、
私より不幸せな人もたっくさんいるでしょう。
私が何もしなければ、誰にも知られることなく消えていくであろう私の人生。その周りの人の人生。
同情してほしいわけじゃない。悲劇のヒロインになりたいわけでもない。
ただ、今大変な思いをしている人が、「自分だけじゃないんだ。」って思ってくれたら、ほんのちょっとでもほっとしてくれたら。うれしいなって思う。
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