悩みの種は、カゲの毛。
ここ1週間ほど、どうも集中力が乏しい。
大好きなねこたちと遊んでいても、大好きなテレビや本、ゲームを嗜んでいても、大好きなものを食べていても、引っ越しの作業をしていても、
フッ、と私の集中力は途切れてしまう。そして、私の注意はある1箇所に向けられることになる。
ベールのように、そのもやもやは私の日常に容赦なく覆い被さってくる。全くもって不本意ではあるものの、どうも気になって仕方がない。
悩みの種は、とある1本の毛だ。
私の頭のてっぺんに、チリチリっとした毛が生えている。
その毛だけを見たら、絶対にカゲの毛(漢字にすると陰の毛)に見えてしまうほど、しっかりめにチリチリっとしているのだ。それが定期的に生えてくる。
この毛の存在を認めると、一気に心がざわつく。
今すぐにでも抜きたい衝動に駆られ、私の意識はそのカゲの毛に大半を持っていかれてしまう。
大活躍なのは左手、左手が疲れれば右手に交代するが、このとき右手はあまり機能しない。カゲの毛感知機能が薄いようだ。
そして、その毛はなかなかに手強く、指で「ここだ!」とわかっても抜こうとすると華麗にかわされ、次の瞬間にはまた行方をくらましてしまう。
完全にいたちごっこだ。
そんなことを何度繰り返しただろうか。左腕は少し筋肉痛気味になっていて、だるさが残る。
気にしなければいいのだけど、頭にカゲの毛がくっついている、そんな気分になって心地が良いはずはない。
気づけば1時間もカゲの毛と格闘していることもあって、さすがにそれは自分でも驚いた。
こうして書いている間も、私の頭のてっぺんには確実にヤツがいる。
共存の選択肢は、今のところない。
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