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【DAY 7】何度観ても飽きない映画 「フィフス・エレメント」

DAY 7
a film that you will never get tired of.
何度観ても飽きない映画

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「フィフス・エレメント」(1997)
リュック・ベッソン監督
ブルース・ウィリス、ミラ・ジョヴォヴィッチ、ゲイリー・オールドマン、イアン・ホルム、クリス・タッカー

未来。邪悪な知性を持ったエネルギー体が地球に迫っている。滅亡を阻止するために、守護の役割を担うモンドシャワン人が飛来するが、襲撃されて全滅してしまった。

死体の一部の細胞を回収して体を再生すると、オレンジ色の髪の美女・リー・ルー(ミラ・ジョヴォヴィッチ)が誕生した。しかし彼女は研究所から脱走、追手を振り切って超高層ビルから飛び降り、通りかかったタクシーの屋根を突き破る。運転手のコーベン・ダラス(ブルース・ウィリス)は、警官の追跡をかわし、過去から代々モンドシャワン人の代理人を務めているコーネリアス神父(イアン・ホルム)の元へ、彼女を届ける。

リー・ルーの説明で、オペラ歌手のプラヴァラグナが、4つのエレメントの石を持っていることが判明。高級リゾート地のスペースコロニー、フロストン・パラダイスで彼女のコンサートが開かれるため、連邦政府は軍の特殊部隊だった過去のあるコーベンを送り込むことにした。一方、武器商人のゾーグ(ゲイリー・オールドマン)も石を狙っていて、マンガロワ人の殺し屋にコンサートを襲撃させる。

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好きな映画は?と聞かれたときにはいつも「フィフス・エレメントです」と答えることにしている。この映画が、僕の価値観の傾向を、いちばんよく表しているんじゃないかな、と思うからだ。

この映画は、世間ではそこまで評判が良いわけではない。映画を高尚なものだと捉える人たちにとっては、「中身がからっぽじゃないか、馬鹿にするな!」と怒られる。一方で、B級活劇が好きなシネマギークたちには、「ベッソン、おバカ映画に振り切ることができないなら手を出すなよ!」と苦言を呈される。だから、「好きな映画はフィフス・エレメントです」と言うと、怪訝な顔をされたり、鼻で笑われることがたびたびあるんだけど、それでも僕はこの映画を推し続けている。

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宇宙を舞台としたSF冒険活劇は、それこそ星の数ほどある。
そもそものSF映画の祖、「月世界旅行」(1902)にはじまり、「猿の惑星」(1968)や「エイリアン」(1979)などの名作がそこに名前を連ねる。その後も、「デューン/砂の惑星」(1984)や「ロスト・イン・スペース」(1998)、「ギャラクシー・クエスト」(1999)、最近では「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(2014)や「インターステラー」(2014)、「オデッセイ」(2015)などなど、荒唐無稽なものから学術的なものまで、あげはじめるときりがなくなってしまう。

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「宇宙モノ」、「SF」って、ファンタジーとリアルな世界のちょうど狭間にいる。いちおう「サイエンス」フィクションなわけで、そこにはいちおう現実との連続性があり、空想の世界に行ききっちゃうようなことはしない。「SFだ」と謳っていれば、観客との間に「わかったよ」という暗黙の了解がある。
でも、それが逆に、映画の「なんでもあり感」に制限を与えてしまって、テンプレ化した表現になりかねない、というデメリットもあると思っている。

たとえば、「惑星ソラリス」(1972)みたいに、独創に寄ると、どうしてもスケール感は小さくなるし、逆にエンタメを追いすぎるとどんどん大作になって「スター・ウォーズ」(1977)になる。どちらも面白い映画だけれど、「ソラリス」は「ソラリス」の中だけで、「SW」は「SW」の中だけで輪が閉じて、すとんと腑に落ちてしまうところがある。だから、何度も観返す、ということにはならない。

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けれどその点、「フィフス・エレメント」は、さっきも言った通り、その「独創生」と「エンタメ」が二律背反している。そして、それが奇跡的にうまいこと均衡を保っているのだ。だからいつまでも飽きない映画になってるんじゃないかな。

車が空を飛びかう23世紀の街並みのCGは、当時では最高峰の技術なのに、モンドシャワン人の着ぐるみは、「騎士竜戦隊リュウソウジャー」に出てきそうな完成度だ。
ゲイリー・オールドマンの静かに発狂する怪演に対して、ブルース・ウィリスはいつも通りのがさつなハリウッドヒーロー感。そこにクリス・タッカーのスラップスティックのノリが加わる、カオスなキャスティング。
ジャン・ポール・ゴルチエの高貴な衣装デザインや、どこか悲しげなエリック・セラの音楽も、こういう「どエンタメ」にはそぐわない。

どうしたって違和感だらけ。
そして、その「しこり」みたいなものこそが持続性の要因だ。

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監督はリュック・ベッソン。全世界で大ヒットした「レオン」(1994)は、本作と違ってあ、らゆる界隈から評判が良い。例にもれず、僕も映画好きになったきっかけの作品だ。
また、何かにとりつかれたように、「ニキータ」(1990)「アンジェラ」(2005)「LUCY /ルーシー」(2014)と、「殺し屋の女」の話を撮る。最新作の「ANNA/アナ」(2019)もまさにそんな話で、公開が待たれる。

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