No.6 この地を守る〜己巳
青々とした畑がどこまでも広がり
空の青へと続いていく
突然
こんもりとした雲が現れ
一陣の風が吹く
空気が歪み渦を巻いていく
蛇のように波打つ平原
馬のいななきが雷鳴を呼ぶ
予兆を感じて大地に向かう村の長
人々の不安を背に受け両腕をあげる
大きく高く広く 大地を抱くように
人々は怯え、子供達は目を見開き
成り行きを見守る
風はやがて嵐となり
木々を、屋根を、風車を薙ぎ倒す
しばらくして日の光が戻る頃
子供達の目には
木々に打たれ、泥にまみれ、
肩を落としてたたずむ長の姿
ゆっくりとこちらを振り向き
いつもの笑みで手を挙げる
あの腕につかまって
大きな肩に乗り
はるか遠くまで眺めたい
たまらなくなって駆け出し
広い胸に飛び込む
「もう大丈夫だ」
身体中に安堵の波が広がる