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遅れてやってきたクリスマスプレゼント
もう何十年も一緒にいると、毎年の誕生日、毎年のクリスマスにあげるプレゼントなんてとっくの昔にアイデア枯れしていて、私は夫にサプライズプレゼントをあげるのをほぼあきらめております。しかも夫のおメガネに叶うものを私が選ぶのは至難の技。今年も、何が欲しい〜?と一応お尋ねはしたものの、そのままで新年を迎えておりました。そんな土曜日、突然、
「欲しいものが見つかりました、これ」
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オークションハウスで売りに出されているお皿です。
うちは今まで引っ越しなどが多かったので、日常用品はなるべく実用的でシンプルなもの。食器類はIKEAで帰る365+シリーズで、割れれば買い足しできるし、普段使いだけでなく、お客さんが来ても構わず、オケージョンを選ばない白。
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このお皿がうちにやってきたら、憧れのgingamomさんのような、美しい食卓への一歩になるのではないかと、内心小躍り即答イエスで、会場へと向かいます。オークションでは相場の記載があり、£70-90ということだったので、£110までの上限値を決め、競り勝ちました。
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私はこういうアンティークものについて何にも知識がないのですが、家に持ち帰ってから、「製年化成明大」と横に書いてあることに気づきます。そこからググること半日。
製年化成明大→(右から読みます)→大明成化年製
ですね。つまり明時代のChenghua (成化)という皇帝の時(1465—1487)の時に作られたもの(レプリカ)で、このお皿にはちゃんとデザインの名前があって
青花石榴花纹盘(中盤)
同じデザインのものが故宮にあるとのこと。
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購入前には全然気が付かなかったのですが、このデザインは石榴と石榴の花。石榴は花そのものが後で実になるのだそうですね。偶然、我々は石榴が大好きなのです。週末の朝は石榴の搾りたてジュースでシャキーンとするのが定番。そんなわけで今朝も張り切って絞りました。
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この青花石榴花纹盘ですが、中国では「青花・青華」と呼ばれ、英語では「Blue and White China」と呼ばれ、日本では「染め付け・染付」と呼ばれているらしいです。
青花が作れたのは唐時代後期の9世紀が始まりとされています。隆盛し始めたのは元時代の景徳鎮窯で完成され、明時代には力強さのある永楽、宣徳、嘉靖などといずれの時代にも作られます。青磁や白磁、黒磁にはない、人の手により描かれた美しさはまた違った格別さがございます。日本では17世紀に有田焼(伊万里焼)にて中国を模して染付が焼かれました。その技術は継承され、今なおつくりづづけられます。その模様の美しさはインドやヨーロッパなどに伝わり珍重されました。
オスマン帝国のトプカピ宮殿にも、大量の青花のコレクションがありましたよね。
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青花や染付は人気の高さから市場にも多く出回っており、骨董屋や骨董市で多く見かけることができます。しかしその反面、贋作や模倣品なども多いジャンルでもございます。中国物は景徳鎮製の物が時代を問わず比較的手に入れやすいですが、正直なところ絵付のクオリティーはピンキリであり、精巧な物であればあるほど高くなってきます。
景徳鎮系の民窯のものなどは比較的購入がしやすく、また元時代であればコバルトの使用量も多いため発色がとても綺麗で、かつ10万円台から購入ができます。本物を見極めることが難しい青花ですが、模様に気にいる物があれば真贋を気にせずに入手をしてみても良いかもしれません。
人の手により描かれているので、故宮にある青花石榴花纹盘(中盤)に比べて、バランスは余白の幅などかなり異なっているのは一目瞭然の贋作。本当に15世紀に作られたものであれば、分子解析などテクノロジーを使わなくても、光沢や裏面の様子など見た目だけで判断できると思います(もし本物であればHK$2,000萬=4000万円の価値があるとか)。今回手に入れたものが、模倣品・レプリカ・複製というカテゴリーの中でもいつ誰がどこで作ったものなのかと考えるだけでも、とても楽しかったです。想像ですが、箱も何の説明もついていないところを見ると、日本で中国から17世紀に引き継いだ古伊万里のお品というよりは、中国のどこかの民間の釜で模倣したもので、それがお土産品となり何十年か前にスコットランドの誰かの手に渡り、そのおばあちゃんが亡くなったのをきっかけにオークションに出された、みたいなシナリオが考えられる。発色も綺麗だし、模様も素敵、いや何なら余白のバランスとか、非対称性とか、オリジナルのデザインよりも味がある。「本物を見極めることが難しい青花ですが、真贋を気にせずに入手をしてみても良いかもしれません」という前述の記述通り、入手できて、これもご縁。
こういうものって、自分の手に入れて初めて興味を持って調べることができる、そういう意味では私ってほんと現金な人だと思いますが、やっぱり
経験が全て
と言われるように、自分の行動や経験を無くしては学びはなかなかやってこないのかもしれませんね。
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(ていうか、夫へのクリスマスプレゼント→あなたのものは私のものになっている)
そうそう、最近とても楽しくオーディブル拝聴した彬子女王のオックスフォード留学記。
彬子さまのことも全然知らなかったし、皇族の一部の女性が女王というタイトルがあることも知らなかったし、皇族の生活のことも想像し難い中、印象に残る様々なエピソードに悶絶。日本美術のことも全然知らないのだけれども、彬子さまがイギリスのチャリティーショップで偶然見かけてお買い求めた九谷焼のカップのお話と重なる部分でもありました。
(この方の解説をメモに残しておく)
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