シェア
森山満穂 mitiho moriyama
2019年6月25日 22:27
【track3】 深藍 母はそれ以来、精神的にまいってしまって、精神科への入院を繰り返した。その間、僕は親戚の何軒かにお世話になって暮らしていた。我が家ではない家に流れるのは、他愛もない無機質な生活音。楽器の音など一切なく、鼻歌を口遊むことも許されない気がして、迷惑をかけないように極力口を噤んでいた。母の症状が落ち着くまでのその時間は、自分の罪を自覚するには充分だった。 あまりにも静かすぎ
2019年6月11日 22:35
【track2】 浅藍 父は歌手、母は作曲家という音楽一家に僕は生まれた。物心ついた頃にはピアノやギター、家にあるひと通りの楽器は弾けるようになっていて、普通の玩具よりもそれらを弾いて遊んでいることの方が多かった。けれど、どんな楽器を弾くよりも、歌うことが一番好きだった。暇さえあれば歌を口遊んで、日が暮れるまで歌っていたこともある。そんな姿をみた周りの人はよく褒めてくれて、それを聴いて両親も嬉