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芸術・アートからSNS写真について考える(村上隆氏「芸術起業論」)・前半

今、村上隆氏の「芸術起業論」(幻冬舎)という本を読んでいます。
まだ途中ですが、あまりに面白いので、読んだ範囲でハッとした箇所を引用したいと思います。

今回は引用がメインです。

写真について、特にSNS写真について考えさせられることが多いです。
最後に少しだけ感想というか、考えたことを記しています。

欧米では芸術にいわゆる日本的な、曖昧な「色がきれい・・・」的な感動は求められていません。
知的な「しかけ」や「ゲーム」を楽しむというのが、芸術に対する基本的な姿勢なのです。
欧米で芸術作品を制作する上での不文律は、「作品を通して世界芸術史での文脈を作ること」です。

芸術起業論
村上 隆 著
幻冬舎
Nikon Zf + NIKKOR Z 40mm f/2

ヒットというのは、コミュニケーションの最大化に成功した結果です。

出典は同上

ぼくは、日本人のスポーツ選手の海外への挑戦を見ているとイライラしてしまいます。
「遠慮し過ぎ!」
目的があるなら、なぜ、チームメイトや業界を味方につけないのだろうと思うのです。
是が非でもやりたいことがあれば「是が非でもやらせる」という圧力も必要だと思う。
優れた選手ほど周囲に圧力をかけていくのではないでしょうか。
優れたレーサーなら、最高のクルマを作らせるために本気でチームメイトを追い込んでゆくはずです。
セナやシューマッハはプレッシャーをかけることも含めて自分の仕事だと捉えていたはずです。

出典は同上
Nikon Zf + NIKKOR Z 40mm f/2

歴史に残るのは、革命を起こした作品だけです。
アレンジメントでは生き残ることができません。

出典は同上

黒澤明監督は、年を経るに従って表層的な芸術的手法に集中しはじめました。
レンズがどうとか照明がどうとかいうところに集中力を見せはじめたし、黒澤監督本人としては「完璧」と言えたはずの「赤ひげ」などの作品は文化庁は推薦するだろうけど、後の世界を変えるインパクトはない。
「七人の侍」や「椿三十郎」はある意味サムライ映画に革命を起こした。がゆえにいまだ語り継がれる名作となっているのではないでしょうか。

出典は同上

美術の作品は、「その作品から、歴史が展開するかどうか」で決まります。
ロバート・キャパが撮った「崩れ落ちる兵士」がやらせかどうかはともあれ、その一枚で歴史が変わったのだから、本物でも贋物でも作品そのものは重要なのです。

出典は同上

大切なのは入口を作ることであり、入口を作った人こそが美術の世界で讃えられるものなのです。
欧米の美術の世界にエントリーすることは、現在をアート的なもので自由気ままに楽しむこととはかけ離れています。欧米の美術の歴史に文脈を作るなら、徹底的な学習が必要なのです。

出典は同上
Nikon Zf + NIKKOR Z 40mm f/2

「欧米美術史のルールを壊し、なおかつ再構築するに足る追加ルールを構築できている」
欧米美術史のルールを読み解くことに集中したデュシャンの凄さは、「芸術は美しいものである」とだけ考えている人にはわからないし、難しいものだったのです。

出典は同上

芸術は人間と人間の戦いです。
欧米でやりとりしているとそのことを実感します。
世界水準の勝負の原点は、個人の欲望の大きさからはじまります。
ウォーホールには、ほとんどそうした欲望しかありませんでした。

出典は同上

価値を生むのは、才能よりサブタイトル

出典は同上
Nikon Zf + NIKKOR Z 40mm f/2

「おもしろくないのにみんなが見る」というのは、これこそ、まさにアートですよね。
デュシャンの便器です。
お客さんとの共犯関係を作りあげることができているわけで、そこまでいけば、作品は、時代そのものになっていくのです。

出典は同上

以上、第一章と第二章の惹かれた部分です。
そして以下、個人の感想です。

特に思ったのは、いい写真とは何か? と考えた時に、視覚的に美しいものに飛びつく癖が私にはあるということです。

でもアートの世界では文脈が大切であり、見た目の美しさと作品の良さは関係ないことを痛感しました。
見た目が映えるような写真はアートとは全く別のジャンルの何かなんだなと思いました。
インスタ写真とでも言えば良いのでしょうか?

ちなみに第三章になると、岡田斗司夫さんが登場します。
アニメにもオタクの世界で名高い岡田斗司夫さんですが、どちらにも興味がない私でもとても好きで、YouTubeで唯一有料会員になっているコンテンツです。

話が逸れましたが、第三章、第四章と、最後まで読み終わって、気が向いたら続きをレポートします。

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