LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略
序章 100年ライフ
100年ライフでは70、80代まで働くことが求められる。そうなれば手持ちの知識に磨きをかけるだけでは最後まで生産性を保てない。
オンディーヌの呪いのごとく永遠に働き続けなくてはならない運命がまっている。
時間をとって、学び直しとスキルの再習得に投資する必要がある。
3ステージの人生では教育、仕事、引退のステップをふむ。
第1章 長い生涯
1920年以降の平均寿命の改善は子供の死亡率が低下した結果という面が大きい。
健康な時間が伸びている。
第2章 過去の資金計画
3人の登場人物に分けて考える。
1945年生まれのジャック
1971年生まれのジミー
1998年生まれのジェーン
前提事項として
①老後の生活資金は最終所得の50%とする
②長期の投資利益率は年平均3%とする
③所得上昇のペースは年平均4%とする
④65歳で引退したいとする
投資利益率は以下の項目で決まる。
①リスクフリー投資利益率(リスクを伴わない投資でも得られる利益率のこと)
②リスクプレミアム(リスクを伴う投資をしたときに、上乗せして得られる利益率のこと)
③リスクフリーの投資対象とリスクを伴う投資対象の比重
ジャックの場合、平均寿命が70歳前後にとどまり、政府と企業の支援が手厚かったために3ステージの生き方がお金の面で以上にうまく機能していた。
ジミーの場合、企業年金が期待できず個人の蓄えによる割合がほとんどを占める。
そうすると引退年齢を伸ばさない限り現実的ではなくなる。
ジェーンの場合もっと長く働かなくてはならない。
第3章 雇用の未来
産業の変化ー100年前は農業が主だったが2000年にはオフィス労働者がほとんどを占めるようになった。
仕事の未来に関して重要なのはロボットと人工知能による代替がどこまで進むかである。
人間固有の能力として
複雑な問題解決に関わる能力と
対人関係と状況適応の能力がある。
この二つが必要な場合は代替が今のところは出来ないとの事。
テクノロジーの進歩や雇用の増減に関しては論者により意見が分かれるがほぼ全ての論者で一致している点は、今テクノロジーが労働市場を激しく揺さぶっており、激変は今後も続くだろうと言う点。
第4章 見えない「資産」
無形資産には色々ある。
①生産性資産
人が仕事で生産性を高めて成功し、所得を増やすのに役立つ要素のこと。
スキルと知識。仲間、評判。
②活力資産
肉体的、精神的な健康と幸福。
健康ー脳は鍛えられる。
脳の機能低下を避けるには体を動かすべき。
③変身資産
変化を経験し、多くの変身を遂げるために必要な資産。
有形の資産と無形の資産のバランスを取るためにマルチステージの人生を生きる必要が出てくるとすれば私たちは新しいタイプの資産を築かなくてはならない。これが変身資産。
研究による成功する条件に関連する要素
第一に変身を成功させるためには自分についてある程度理解していることが不可欠。
第二に変身を遂げるとき人は新しい人的ネットワークに加わる。
第三に返信のプロセスが受け身の体験ではないことも明白。
第5章 新しいシナリオ
長く生産的な人生をおくるためには、さまざまな選択肢を検討し、意識的に選択を行う必要がある。
起業家型の新ステージは、お金の面でも無形の資産の面でもよりリスクが多くストレスも大きい。
ポートフォリオ型の新ステージを選べば、夫婦が一緒に過ごせる時間を確保できる。
どちらを選ぶかは本人の嗜好と状況次第だ。
長寿化時代には男女両方が職を持つことに魅力を感じる夫婦が増える。
その方が、老後の生活資金や人生の途中での移行と再創造のための資金を蓄えやすいからだ。
第6章 新しいステージ
マルチステージの人生を生きるためには、これまでの若者の特徴とされていた性質を生涯通して保ち続けなくてはならない。
その要素とは若さと柔軟性、遊びと即興、未知の活動に前向きな姿勢である。
インディペンデントプロデューサーとは
職を探す人ではなく、自分の職を生み出す人だ。
移行期間のタイプとして
エネルギーの再充填と自己の再創造がある。
いずれも無形の資産に大きな投資を行う。
第7章 新しいお金の考え方
適切な資金計画を立てるためには
自己効力感(自分なら出来るという認識)と、
自己主体感(みずから取り組むという認識)が必要。
自己効力感をもっているといえるためには、
生活していくためにどれくらいお金がない必要か?
何歳まで仕事をつづけたいか?
自分の金銭面の状況をどの程度把握しているか?
自分はどのくらい金融知識を持っているか?
などには答えられなくてはならない。
判断能力が最も充実している中年期に将来の資金計画をたてるのは理にかなっている。
高齢になって判断能力が衰えはじめてから、貯蓄不足を解決するための策を講じようと焦るのは賢明で無い。
第8章 新しい時間の使い方
時間の使い方は社会が決める
長寿化により人生の時間が増えるという話ではなく、経済的繁栄により余暇時間が増える。
代替効果の考え方によれば賃金が上昇すると余暇のコストが高まるとされる。
労働時間を減らすことの代償は減った労働時間分の所得が減ることだ。
この点では賃金が高い人ほど、労働時間を減らしたときの所得元が大きい。
したがって高所得者ほど余暇のコストが大きいと言うことになるだから高所得者は長時間働くことを選択する。
多くの人が時間貧乏だと感じているのは、
自由に使える時間が足りないからではなく、
空き時間が足りないからだ。
人々は様々な選択を重ねてスケジュールを立て、
自由に使える時間を埋めていく結果、空き時間がほとんど残されていないのかもしれない。
第9章 未来の人間関係
キャリアに関する最も大きな決断はパートナーをもつかどうか、パートナーをもつとしてどういう人物を選ぶかという決断である。
男性たちが柔軟な働き方を選択しはじめると
柔軟性の烙印を押されて賃金が下がると言う可能性がある。
第10章 変革への課題
長い人生を1つの長い旅と考えるべきだ。
それはどのような形の旅になるのか?
それを真の意味で自分の旅にするためにはどうすべきなのか?
これらの問いの答えは、
その人がどのような選択をし、
どのような価値観で生きるかによって決まる面もある。
一人ひとりの選択と価値観が、
人生の出来事やステージア以降の順序を決め、
それが自己意識、
つまりアイデンティティーを築いていく。
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