人の心を温める 二酸化炭素の功罪(2)
あー疲れた。疲れが取れないなあ。誰にだってあるよね、そんな時、炭酸風呂に入ってみては如何だろうか? 炭酸風呂は人の心を温めてくれるそうだ。
飛騨高山に秘湯荒城温泉恵比須之湯がある。二酸化炭素濃度1158ppm・ナトリウム・カルシウムの炭素水素塩の温泉だ。冷泉と温湯に繰り返し浸かると、皮膚は紅潮し、体はポカポカいつまでも湯冷めしない。私は温泉の研究も好きだ。
人間の細胞の営みに酸素が必要である。炭酸泉に浸かると、どうやら血液中の二酸化炭素濃度が増したピンチを細胞が感じ取り、体の隅々の細胞にまで酸素を大量に送るために、血管が拡張するらしい。食前に炭酸水を飲むと、胃の血流が良くななって食欲が増すのも同じ理屈だ。すなわち二酸化炭素は、心臓が送り出す血流の流れを改善し、疲労物質を洗い流し、体を温める作用があるのである。
でも浸かりすぎると、脳内の細胞の二酸化炭素濃度が増し、ボーっとする。「湯あたり」には気を付けよう。
植物は葉で光合成をするのに、二酸化炭素を必要とする。二酸化炭素濃度が増すと光合成速度が速くなり、植物が早く成長する。いわゆる「二酸化炭素施肥」だ。では、炭酸水は人間のように植物にも効くのだろうか?これがとてつもなく効くのである。そのあたりの「からくり」は続編で紹介しよう。
さあ、今宵も炭酸風呂に浸かって心を温め、明日に備えようではないか。
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