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帰り道、どこかに寄ってみようかな。
私は土木工学を学んでいる大学生である。今回は、『まちの見方』についてお話していきたい。
私が土木科の大学生になった2018年当時、オリンピック/パラリンピックや災害対策を背景に多くの建築物がつくられていた。しかし、その当時の私はあまり実感を持てなかった。
建築物をつくるにはかなり時間がかかるため、たとえ多くの建物がつくられていたとしても『いつも過ごしているまち』に変化がないような気がする。ましてや『まちの未来』について深く考えたことも無かった。
正直なところ、大きなビルが立ち並ぶオフィス街に行っても
「今日も相変わらずビルがニョキニョキ生えているな。ヨシ!」
としか思っていなかった。
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その地域への集中投資や災害などで大きくまちをつくり替えない限り『まちが変化している』と感じるのは難しい。しかし、新たな知見を得ることやいつもと違う行動を取ることで、『まちの見方』を変えることなら出来るかもしれない。
私自身も土木と出会ったことで『まちの見方』が少しずつ変わってきていると感じる。
0. 私が土木工学と出会うまで。
中学生・高校生の頃は、鉄道を使って全国を巡っていた。鉄道の車窓からまちを始めとした日本の風景を眺めているのが好きだったと思う。
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大学進学の際、理系で鉄道に触れられる学問はないかなと考えていた。日本全国の街を見て無意識に楽しんでいたからなのか『まちづくり』がやりたいなと思い、土木の道に進むことにした。
1. 土木を学んだらまちの見方が変わった。
大学に入ると、構造力学、土質力学、水理学など多くの力学が待ち受けていた。
理系なんだから数学・物理を使うのは当たり前なのかもしれない。ただ、まちづくりというよりは橋・トンネルの作り方などが学びの中心であったため、モヤモヤした。
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力学自体嫌いでは無かったので勉強自体は苦に思わなかったが、まちづくりに関心があった自分にとって本当に土木工学が面白い学問なのか半信半疑だった。
しかし、大学3年生になると、まるでまちの姿が変化しているように思えてきた。
海岸工学という大学の講義で砂浜を広げるためにつくられる『突堤』という土木構造物を知った。
(海岸から海に向かって突き出ているのでそう呼ばれている。)
そういえばどこかで見たことあるなと感じたため、後ほど私が過去に撮影した写真を漁ってみた。
「これだ!」
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なんと、私が高校2年生のときに高知市桂浜(坂本龍馬の銅像があるところ)で撮影していた。撮影した当時は、なんとなく海が綺麗だなと思って撮影したものだった。
土木を学んだことによって、『この写真に突堤が映っている』ということを初めて認識し、たいへん驚いた。まるで赤ちゃんが言葉と実際のものが一致して、喜んでいるのと同じような感覚になった。『土木を学んだことでまちの見方が変わったんだ』と確信した瞬間だった。
土木を面白いと思えるきっかけになった思い出の1枚である。
2. 『まちの見方』をアップデートし続けてきた。
2020年以降、お出かけしにくい状況が続いている。私自身も2019年以前と比較すれば圧倒的に出かける機会が減ってしまった。そんな中、土木工学以外の知見も得ることで『まちの見方』をアップデートし続けてきた。
最近、個人的に注目しているのは地学的価値を持つ遺産を保護/活用する『ジオパーク』という仕組みである。名前だけは聞いたことはあるけど実際にどんなものか知らなかったので、大学の講義を受けてみることにした。
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ジオパークでは地学の遺産を守るだけではなく、地域の教育活動や観光まで考慮されていることにびっくりしたことを覚えている。
今後、ジオパークが認められている地域に滞在する機会があればぜひ寄ってみたいと考えている。さらに理解を深めるためには、地学を学びなおす必要もありそうだ。
今では『学び』によって『まちの見方』をアップデート出来ることが楽しくて仕方がない。『まちの見方』が広がると新たな疑問が生まれ、新たな学びを得たいモチベーションになっている。
今後も『まちの見方』をアップデート出来るものであれば、どんなジャンルでも夢中になって学ぶことが出来るかもしれない。
3. 『ちょっと行動を変える』だけでまちの姿が変わっていく。
土木工学を学び始めてから約4年。まちの現状について、やっと一部分を捉えられるようになってきたのかもしれない。
ここまでの話を聞くと、『やっぱり土木やインフラ、まちづくりについて学ばないとまちの見方が変わらないのか』と思われるかもしれない。
ただ、まちの見方を変える上で必ずしも土木やインフラ、まちづくりを学ぶ必要はない。
『一度も行ったことないレストランによってみる。』
『休日に人気のアウトレットモールに行ってみる。』
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帰り道にどこか興味のある場所に寄ってみるなど、好奇心に従って『ちょっと行動を変える』だけでもまちの見方が変わるかもしれない。きっとわたしたちがまだ知らない『まちの姿』があると思う。
4. 『まちの未来』を一緒に考えてくれる仲間を増やしたい。
ここまで『まちの見方』を広げるお話をしてきたが、残念ながら自分なりに『まちの未来』を具体的に描くことはまだ出来ていない。
それは土木工学に出会って、『まち』にある課題が数え切れないほど多くあることを知ってしまったからだ。まちでは多くの人が暮らしているからこそ、逆に『まちの未来』をどのように考えるべきか余計に分からなくなってしまった。
しかし、『まちの見方を変える』ことを面白いと思ってくれて、『まちの将来』について一緒に考えてくれる仲間が1人でも増えるといいなと思っている。より多くの人と真剣にまちの将来を考えれば、よりよい未来を考えることが出来るかもしれない。
帰り道、どこかに寄ってみようかな。
些細な思いつきが、#暮らしたい未来のまちを考える出発点になるだろう。
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