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#17シモキタの個性を地理的に考えてみる。
こんにちは、はたはた@土木写真です。
今回は『下北沢』へ行ってきました。
下北沢は個性的な街の一つとして紹介されていますが、なぜなのでしょうか?今回は街をブラブラしながら感じたことを地理的な視点から考えてみたいと思います。
0. 下北沢ってどんなところ。
ご存知の方も多いと思いますが、下北沢についてもう一度確認してみましょう。
下北沢駅は小田急小田原線(新宿~小田原)と京王井の頭線(渋谷~吉祥寺)が乗り入れている駅です。
小田急線は特急ロマンスカーを除く全ての一般列車、京王井の頭線は全ての列車が停車します。
新宿駅・渋谷駅へ10分以内にたどり着けるため、非常に利便性が高いことで知られています。
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小田急線が地下、京王井の頭線が地上を走っている。
1.シモキタ『沢』
下北沢はよく『シモキタ』と訳されることが多いようです。しかし、個人的には訳されてしまった『沢』というワードこそ、下北沢という街を読み解くヒントが隠されているのではないかなと思います。
皆さんは『沢』と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。山奥の水が流れている薄暗い場所みたいなイメージでしょうか。つまり、『沢』は水が流れる谷のことを示します。
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青色の部分が標高30m、緑色の部分が標高40m、赤色の部分が標高50mを示す。
青色に塗られている部分のうち、蛇のように細長く伸びているところが
『谷』になっている。
ここで下北沢駅周辺の地形を見てみます。この地図を見ると下北沢駅周辺にはいくつかの谷が見られることがわかります。ひょっとしたら、昔は下北沢駅周辺に小川が複数流れていたのかもしれません。
とは言っても下北沢周辺の標高差はせいぜい10m程度。坂がある街と言うと坂の上から良い景色が眺められるイメージですが、下北沢にはおそらくありません。つまり、下北沢はかなり緩やかな地形であると言えます。
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次に下北沢一番街商店街に注目します。先程の地形図と照らし合わせるとこんな感じ。ぴったり谷の部分に商店街があることがわかります。なぜ谷になっている部分と商店街の場所が一致したのでしょうか。
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下北沢駅から谷筋に沿って、作られていることが分かる。
商店街は「道を歩いて買い物する場所」です。では、坂を登りながら買い物をするのはどうでしょうか。観光名所なら仕方がないですが、毎日坂を登りながら買い物をするのは大変と思う人もいるでしょう。
駅の北側で勾配が急にならない場所に商店街を置いた結果、谷に沿って作られたと考えられます。実際、下北沢一番街商店街を歩いている際、坂になっているとは感じませんでした。
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あまり坂道だとは感じない。
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商店街が谷の部分にあることが分かる。
そして、地形に沿って商店街・道路が配置されるとなれば、自然と街の形が複雑になります。街の中に似たような景色がほとんど見当たりません。これが、下北沢という街が『個性的』と呼ばれる一つの理由なのかもしれません。
まとめるとこんな感じです。
複数の小さな谷がある、ゆるやかな地形
▶ 地形に沿って、道路・商業施設が発達
▶ 街の形が複雑になり、多様な景色が生まれる。
2.バス停、どこ…?
小田急線と京王井の頭線が乗り入れる利便性の高い下北沢駅。ではバスはどうでしょうか。バスがあれば、もう少し違う場所にも行くことが出来てさらに利便性が上がりそうです。
駅前にはバス停どころか車が止められそうな場所がありません。少し大きな道を探す必要があるようです。東側の茶沢通りを目指してみます。茶沢通りなら比較的道が広いですし、何かバス停が見つかるかもしれません。
3分ほど歩くとバスターミナルらしき場所を見つけました。ここは北沢タウンホールという公民館。1階にバス3台ほどが停められるスペースを見つけました。
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建物がひしめき合っている中、何とかバスが停車出来るスペースを確保している。
バスの行き先を見てみると、東急田園都市線・世田谷線の三軒茶屋駅を経由して環七通りの駒沢陸橋という場所まで行けるようです。逆に言うと下北沢駅から発着しているバスはこれしかありません。
いやいや、少なすぎだろ!と思うかもしれませんが、そもそもバスなどが通れる場所が下北沢駅周辺には茶沢通りぐらいしかないのです。下北沢駅周辺には数多くの駅がありますし、わざわざバスを通す必要がないという背景もあるのかもしれません。
渋谷駅・新宿駅にすぐ出れるとは言え、羽田空港・成田空港など、飛行機のターミナルへの移動はやや不便と言わざるを得ません。遠出の多い人にはあまり向かない街かも。
また、狭い入り組んだ道が多いため、車でこの地域を通過するだけでも至難の業です。車移動に慣れている方にとっては不便ですが、歩行者にとっては車を気にせずに楽しめる街とも言えそう。
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下北沢駅周辺では唯一、片側1車線を十分確保している道路と言える。
車で下北沢に行く場合は、茶沢通り近くの駐車場に停めるのが無難だろう。
3.小田急と京王と。
小田急と京王という2つの会社が乗り入れる下北沢駅。小田急と京王、それぞれが下北沢駅周辺の開発に力を入れています。最後に2つの鉄道会社が描く街の姿を見ていきましょう。
3-1.下北線路街(小田急)
2013年に線路を地下化したことで大きなスペースが生まれました。このスペースを活用して作られたのが下北線路街です。商店を始め、宿泊施設・保育園まで様々な施設が2022年にかけて次々と誕生しました。
下北線路街のサイトを見るとかなりコンセプトの部分に力が入っているなと感じます。
BE YOU. シモキタらしく。自分らしく。
いろんな人が、自分らしく生きている街、シモキタ。
ここまで多様性にあふれている場所は、日本中を見渡しても、そうそう存在しません。
そんなシモキタの魅力がそのまま未来に息づきながら、
より多くの人がつながり合って、それぞれの心地いい場所がふえていく。
そのためのきっかけをつくったり、新たなチャレンジを後押しできる拠点となることを目指して、
当開発プロジェクトは走り出しました。
下北線路街を歩いていると本当に様々な施設が次から次へと現れるなぁと感じました。商店街の雰囲気とはまた異なる新しさを感じますが、うまく既存の施設と融合していくと面白そうだなぁと。
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遊歩道になっている部分がかつて小田急線が走っていた場所。
3-2.ミカン下北(京王)
かつての京王井の頭線盛土部分に誕生した施設で2022/07に全面開業しました。
ようこそ。遊ぶと働くの未完地帯へ。
地元の顔も、新参者も。常連さんも、一見さんも。
ここは、ジャンルや価値観を超えて混ざり合う場所。
遊んでもいい。何かを生み出すために働いてもいい。
目的があっても、なくてもいい。
ルール無用。正解よりも面白い方へ。
ミカン下北は実験的な空気であなたを歓迎します。
下北線路街と比較すると開発範囲は狭いですが、立ち止まりやすくなる工夫を色々とやられていて興味深かったです。街の一部として違和感なくうまく溶け込んでいるように見えました。
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壁面デザインが中々ロックで好き。
ちなみにかつて数年だけ、井の頭線は小田急が保有していました。もし、小田急が井の頭線を持ち続けていたら下北沢駅は小田急だけが乗り入れることになっていました。
小田急だけが乗り入れる下北沢駅ではどんな街になっていたのでしょうか。
小田急・京王が開発している再開発地域のコンセプトを見てみると、「多くの人を巻き込んで、シモキタをより面白い街にしていきたい」意図をなんとなく感じました。
4.まとめ
今回は、下北沢を地理的(地形・交通)な観点から考察してみました
個人的には「シモキタらしい」とは何かはっきり言語化出来ないまま、カオスな状態を貫いてほしいと願っています。将来、社会がどんな風に変わるかわからない部分も多いですが、多様性やトレンドを受け入れ続ける姿勢を見せ続ければきっと次の世代の人にとってもワクワクする場所になるんじゃないかなぁと。
5.シモキタをもっと知る。
★下北沢を街歩きしてみた記事はこちらから。