感染症の専門家はこれまで巷の病院でやってきたインフルエンザの簡易診断キットも相当にいい加減なものだということを白状してコロナ対策を推進するべきと思う件
前回の記事ではPCR検査がどれほど精度が期待できないものなのかを、ワイドショーの報道に文句を交えつつ、グラフで説明しました。(今回も大体同じ意味の記事です。)
これはマスコミのレベルだけの問題ではなくて、専門家も中途半端な数字をだして、大事なところをごまかしているから、世間の誤解も生まれてる気がするんですよ。
頭のいいお医者さんがやっている「検査」っていうものが、
「実はすごくいい加減な精度のものだった」
ことがばれたくないのかな、と邪推するほどに。
国の専門家が公式に出している記事の
「国が承認した「抗原検査」ってどんなもの?」
っていう記事でも、PCR検査の「偽陰性率30%程度」って書いてあるわけです。よくよく現状を見て考えれば、絶対そんなわけないんです。
専門家会議が出している今回のコロナウィルスの基本再生産数の最大想定が 2.5 です。
もし、この数字がどちらも正しいものだとすると「偽陰性率30%程度のPCR検査キット」が市中に十分にある想定なら、どんどん検査して陽性者を隔離するだけで、毎回感染者の3割だけが市中に残る計算なので、無機質な数式の理論上は
実効再生産数 2.5 * 0.3 = 0.75 < 1
となり、感染症が収束してしまうんですよ。
だとすれば、各国とも、ありったけのPCR検査キットを急ピッチで生産させて、市中で希望者全員誰でも受けられるようにするだけで「新しい行動様式」を取り入れなくても生活を完全に元に戻すことができます。
でも本当は、PCR検査体制をどれだけ増やしても、それだけでは実効再生産数が1を下回らせることが「絶対に」できない精度の検査だから、全世界でパンデミックが発生し、行動制限も続けなければならず、「新しい行動様式」も取り入れなければならない状況になってるんですよ。
ある国の基本再生産数が1.5であっても、単なるPCR検査の拡充だけでは「絶対に」実効再生産数が1未満になることはないはずです。(その時点で最低偽陰性率67%です。)
専門家が書いた
「国が承認した「抗原検査」ってどんなもの?」
という記事でも、
抗原検査は、「いま感染しているかどうか」を調べることに役立ちます。
インフルエンザの簡易診断キットのようなイメージです。
とか、
「検査は100%ではないこと」について、わかりやすく解説しています。
とは書いているんですけど、
「100%の精度ではないけれど、これまでもやってる検査だよ」
というふわっとしたイメージの説明だけして、偽陰性が90%以上になる可能性については言及してないんです。
これまで、巷のインフルエンザの流行の統計は「一医療機関当たりの報告数」みたいなものが基準で、感染者全体の正確な数字ではありません。本当のところはあんまりはっきりはわからないんですよ。分からなくても、治療薬があったり、自己免疫で治っちゃう人が多く、人もそれほど死ななないので、そんな適当な感じでもいいんです。
でも、新型コロナウィルスは本当に人が大量に亡くなるウィルスです。
大事なことをごまかしながら、検査精度についての国民の誤解を解く努力をせず対策を進めることは、最も大事な国民の命を犠牲にすることになってしまいます。
これからの時代はグローバルな時代ですし、外国で感染症が突然発生して、すぐに日本でも拡大することも想定すべきで、その中で「検査」というもの意味について国民も正確な知識を持たせた上で、対策を練り、立ち向かうべきでしょう。
コロナでろくに仕事もできないので、暇つぶしに数理モデルで今回のコロナウィルスの動向を分析しています。