~癌になるとは考えもせず。人並みに家族を持ち、子供も作ってしまって本当に申し訳ありませんでした~
ポートを埋め込んだ傷痕は、その後 特に大きな痛みもなく、ズキズキはしますが、予想した痛み程ではありませんでした。
※ポートに何かがぶつかると、
悲鳴が出るほど痛かったですが笑
ただ1つ…。
私は車の運転をするので出来れば左の鎖骨の下に入れて頂きたかった…
シートベルトで押されるんです、鎖骨の下に埋め込まれているポートに。"ちょうど当たる場所"なんです、入っている場所が…。
シートベルトが痛い痛い…。
CVポートが体に入っている人は、
≪体にCVポートが入っていますカード≫がもらえます。
これを見せるとシートベルトをしていなくても
取り締まりを受けない。
という特例があるとか無いとか…本当ですか!?このお話は…
(私も病院でカードをもらいましたが、
飛行機の搭乗前の金属検査の際に職員へ提出して下さい という説明しか看護師さんから受けませんでした。)
私は自分の体を守るためにシートベルトは必ずしますので関係ありませんが。
とにもかくにも、素晴らしい手際でCVポートを入れて下さった先生、本当にありがとうございました。
CVポートはこんな感じの物です。
病室に戻って、夜の先生の回診で
『明日、十二指腸へステントを入れます。』
と言われました。
「ステントって…いつかは取るのですか?」
『いえ。基本的には取れません。ステントの周りに癌細胞がくっつくので触らない方が良いんです。手術の時に、もしかしたら取るかも知れませんが、基本的にずっと入れたままです。』
「えっ…⁉」
ん…入れたまま?
ずっと。、
体の中に異物を入れたまま、一生…。
一気に不安が押し寄せて来ます。
長さと太さはどれくらいの筒ですか?
『約直径2.2cm(胃からの出口です)・長さ11cmです』
長い…大・・・丈夫・・?
【健康な人は食べ物が胃に入り、それが消化されて十二指腸へ流れる時には、十二指腸の入り口はそれに合わせて大きく約5センチほどに広がります。
(5センチだったと思います)
ただ、今から○○さんが入れるステントの直径は2.2センチから広がったり小さくなったりはしません。固定です。】
数日前から寝る前に“睡眠導入剤”を点滴で入れてもらっていましたので、この日も睡眠導入剤を入れて頂き、頭がボーっとしてきてなんとか就寝…。
私、眠剤を点滴で入れてもらってもきっちり3時間で目覚めてしまうんです。
だからいつも追加でもう一本入れてもらっていました。
その日も深夜3時頃に目覚めて、間もなく行われるステント留置の手術が心配で…そこから寝られませんでした。
夜中にトイレに行った時、鏡でふと自分の体を見ました。
・左の鼻から胃まで長いチューブを入れて、そのチューブから茶色い液体が下のバッグに落ち続けて。
・右の鎖骨の下には100円玉程のポートが埋まっていて。何針も縫ってある。
・左の腕には点滴が2本繋がっていて。
今も薬がどんどん、入ってきている。
・そして明日には、一生付き合っていく管を十二指腸に入れる。
「もう体中、管だらけ、薬だらけ…。 ボロボロ…。こんな姿、下の子に見せたら絶対怖がって近寄ってこないだろう、恐怖で泣くだろうな…。
自分は本当にこれからどうやって生きていくんだろう?」
父親として、39歳にしてこんな体で家族を守っていけるのかな。
いや、実はもう無理。助からないと、先生は知っているんじゃないかな。
もし、死んで火葬されたら、そのステントだけは残るのかな?
それを見て妻は、子供達は一体何を思うのだろう?
やっぱり怖がるのかな?
下の子は、まず自分の記憶は無いだろうな…。
まだ3歳。確実に覚えていないと思います。
あれだけ沢山抱っこして、毎日お風呂に入れて…
オモチャでおままごとしたり、沢山お話ししたのに。
アンパンマンもしまじろうもプリキュアも、ファントミラージュも、パパ頑張って覚えたのに。
そして何より思ったこと。
自分がこんな体になるとは全く予想もせず、
妻と結婚して子供を作り、人様と同じ様に家庭を作った自分は、ただ、無責任で馬鹿だったんだと。
悲観でも投げやりでもなく、素直にそう思えました。
子供が出来た時
「自分達の人生はここからまた始まるんだ!!ワクワクする!!」
って妻に言いました。
これからの人生、ここから何か大きなものが始まる気がして。
付き合いはじめの時の様に、夫婦で手を握ってドキドキして。
幸せでした。
妻も同じ様に思ってくれていたら嬉しいなって、思った。
でも。現実はそうではありませんでした。
自分はホントにただの馬鹿でした。
トイレで一人座り込みトイレットペーパーを口に当て、声を出して泣きながら心の底から家族に謝りました。
万が一残される妻にとっても子供にとっても、自分がどれ程、無責任な父親だったのか。
万が一残されたら家族はどうして生きていくのか。
この日はもう朝まで寝付けませんでした。
いつも寝れない時に見ていた、スマホに入った家族の写真や動画も見れませんでした。
家族に申し訳が無くて。
涙が止まりませんでした。
この時の自分には、もう。
滅亡感しかありませんでした。