抗がん剤治療までの自宅での生活
入院まで、自宅での生活が続きます。
検査結果が分かってからのわずか数日間の間に、
食べ物が詰まる様になってしまいました。
例えるなら胃袋の底を糸で縛られたような…
食べた物がずっと胃に留まっているんです。
それ以上、下に(十二指腸へ)落ちません。
手でお腹を触るとパンパンで、
空気を入れすぎた風船のようです。
菓子パンを一度食べましたがまさに地獄絵図でした。
寝ていても起きていてもお腹が苦しく、パンが上から出てこようとします。
1日3回痛み止め (ロキソプロフェン) を服用するのですが、そのお薬もずっと胃で止まっている感じです。
だから効かないのでしょうか…?
でも食欲はあるんです。
それが困りました。
ずっと妻に弱音を吐いて。
自分が癌を患って初めて “その通りだなぁ” と実感した言葉がありました。
それは、
樹木希林さんが生前仰っていた言葉です。
「この身体って、自分の好きなように動くから、すっかり自分のものだと勘違いしちゃってた。本当は神様から借りていただけ。自分のものではないのよ。だから使ったら、ちゃんと返さないといけないの。そうとは知らず、今までずいぶん無理させちゃった。今更きづいても遅いんだけど、本当にごめんね」
私はまだまだ
この年ですし、周りに癌患者さんがいなかった事もあり、そんな経験者の言う事を聞き流して
【世の中には大変な人もいるんだな】
【自分は違う、癌になるとしてもまだまだ先の話】
と思っていました。
また元気だったあの時の様に
体のどこも痛くなく。
毎日仕事に行き、子供を抱き上げ、パンも食べる。
たまの休みには家族で出掛けて。
そんな生活がまたもう一度出来たらどんなに
幸せでしょう。
当たり前の様に送っていた毎日…。
そんな『毎日』に戻れる日はもう来ないんだ、という絶望感に体が震えました。