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モブワークしよう

モブワーク(複数人が同時に一つの作業を協力して進める手法)やペアプロといった協力作業は、リモートワークの普及により大きく進化しました。かつては、ペアプロを行う際には、1つのモニターを2人で覗き込む必要があり、キーボードを交代しながら進めるという物理的な制約がありました。しかし、今ではGatherやSlack、Google Meetなどのリモートツールを使うことで、同じ画面を共有しながら快適に作業ができるようになり、物理的な制約から解放されました。

モブワークを行うことで、チーム全体の理解度が大きく向上します。リアルタイムでの意見交換やフィードバックが可能になるため、ドメイン知識やツールの使い方が自然と共有されます。命名の議論や実装方針の確認がその場で行えるため、作業の流れがスムーズになり、レビューの通過率も向上します。これにより、手戻りが少なくなり、結果としてプロジェクト全体の効率が上がることが期待されます。

モブワークは、単に作業効率を上げるだけでなく、チームメンバー同士の絆を深める効果もあります。リモート環境であっても、一緒に問題を解決することで、まるで戦友のような強い絆が生まれます。これによって、チームの連携が強化され、作業を進める中での信頼関係も深まります。実際に、一緒に作業することは、飲み会などの社交的なイベントよりも、仲間意識を醸成する効果が高いと感じることが多いです。

もちろん、リモートのモブワークならではの課題も存在します。時差や通信の不安定さなど、物理的な制約とは異なる問題に直面することがあります。しかし、これらの課題は、適切なツールの活用や時間管理の工夫によって克服可能です。

リモートワークでは、地理的に離れたメンバーとも簡単に協力できます。私自身、マンハッタンに拠点を置く職場で働いていた経験がありますが、実際には日本からリモートで仕事をしていました。また、パリを旅行中の同僚と会議して、背後で教会の鐘が鳴っているのを聞いた経験もあります。オーストラリアに出張中の同僚とは、時差がなくスムーズに会議ができて快適でした。ネットさえ繋がっていれば、地球のどこにいてもコラボレーションが可能です。都内のオフィスに出勤している人とはオフィスのwifiトラブルで会議ができないのに、シンガポールにいる同僚とは問題なく話せる、という滑稽な状況もありました。

ネットさえ繋がっていれば

また、複数人で作業を進めることで、誰がどの部分を担当するのかが曖昧になり、最終的に「誰かがやるだろう」と無責任な状態に陥る可能性があります。さらに、仕様決めの際に音頭を取るリーダーが不在である場合、プロダクトオーナーへの提案や確認が後回しにされることもあります。

この点については、明確な役割分担やリーダーシップを持つことが重要です。特に、プロダクトオーナーへの報告や確認が確実に行われるように、チーム内でアイテムごとにその責任の所在を明確にすることが求められます。アイテムのオーナーを決めるような試みがその一環です。

モブワークは、リモートワークが一般化した現代において、チームの知識共有や安定した開発体制を築くための重要な手法となっています。グローバルなチームであっても、地理的な制約を超えてモブワークすることで、組織全体の成長を促進し、プロジェクトの成功率を高めることができるはずです。

Apple Vision Proでモブワークする未来

ところで、Apple Vision Pro (AVP) は、モブワークに大きな変革をもたらす可能性がありますが、まだ多くの人がその体験を試していないのが現状です。私もAVPのビデオ通話を試してみたいのですが、試す相手を見つけるのが難しいです。特に、企業によっては自分のデバイス(BYOD)を持ち込むことが禁止されているため、AVPの使用が難しい場合も多いです。

現在、リモート会議はGatherなどのツールを使って行われていますが、そこでのコミュニケーションにはいくつかの問題があります。たとえば、発言が重なることがよくあり、挙手ボタンを使うべきですが、自然な会話の流れの中でタイミングが合わずに発言がかぶってしまうことがあります。まるでダチョウ倶楽部の「どうぞどうぞ」のような場面が毎日のように繰り返されます。

もしAVPが上半身の動きをアバターで自然に再現できれば、こうした問題は改善されるかもしれません。誰が次に発言しようとしているのかを視覚的に把握できることで、コミュニケーションがスムーズに進むことが期待できます。特にリモートワークでは、非言語的なコミュニケーションが不足しがちですが、AVPのようなデバイスがその不足を補う役割を果たすでしょう。

また、リモートワークでは、対面のときに比べて雑談の機会が圧倒的に少ないという問題もあります。これにより、偶然の発見が減ったり、連帯感が薄れたりして、孤独感やモチベーションの低下につながることがあります。この問題に対抗するためには、意図的にオンライン懇親会を設けたり、ミーティング前に早めに集合して雑談する文化を作ることが有効です。AVPのようなデバイスを通じて、リモートでも対面に近い感覚を提供できれば、これらの工夫がさらに効果的になり、モチベーションの維持に役立つでしょう。




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