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認知症の祖母(2022.07)

「何人家族だっけ?」

少し前から認知症の祖母がよく言うようになった言葉。

「うち、何人だっけ?」

夕飯の箸を準備する時やお皿を出す時、

「何個出す?
 5人だっけ?6人だっけ?」

話から察するに、
私や弟の事を忘れた訳ではないし、
息子である父のことや、
嫁に来た母の事を忘れている訳でもない。

夫である祖父を忘れた訳でもない。

ただ、
家族の人数を思い出し
数として捉えると言う事が出来なくなってしまったらしい。

認知症とはそう言うものだった。

家族構成を覚えていても
人数を認知できないので、
何個出せばいいか分からないと言う感じなのだと思う。多分…。


・洗濯物は多種多様

私たち孫も大きくなり、
最近は父や母と似たような服を着るようになった。

誰のだろう、
祖母はどんどん分類できなくなっていく。

普通であれば、これはあの人が着ていた服、これはあの人、これはあの人っぽい、と言った調子で分けられるのだが、記憶はすぐに消えてしまうのでそれが出来ない。

畳んだ洗濯物を重ねることも出来なくなって、
畳んでは新しい場所にそっと置いていく。

祖母は、
重ねる事を放棄された洗濯物に囲まれている。

「ばぁちゃんさ、
 どれが誰のか分からないから
 後で分けて持ってってね」

家族が沢山いるみたいに見える。

今日も畳の上は賑やかだ。

祖母はいつでも愛おしい。

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