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日本のおじさんは人を褒めるのが世界一苦手⁉

おじさんの孤独を研究しているという興味深い方を見つけた。元読売新聞経済部記者で、何冊もの本をリリースされている岡本純子さん。

社会問題やコミュニケーションについて研究されている彼女。

そんな岡本さんの書かれた「世界一孤独な日本のオジサン (角川新書) 」が面白かった。

一部を引用させていただこう。

「ダメ出し」「自分語り」大好きなオレ様系上司が跋扈し、部下の働きを認めることも、ほめることもないという、深刻な職場の「コミュ力の“貧困”」が社員の士気を阻害し、日本の会社によどみを生んでいる。そうしたカルチャーの下で、本当のコミュ力を鍛えることのなかったおじさんたちが、仕事を離れた時、青ざめるのだ。「人とのつながり方がわからない」と。

岡本純子「世界一孤独な日本のオジサン (角川新書) 」


ライタースクールに通ったり、編プロの仕事をしてきて気づいたことがある。

今回は、僕自身がおじさんであることを棚に上げて、おじさんについて書いてみよう。

人をほめるのが苦手なおじさんが結構多い。

彼らには共通点がある。
・自己愛が強くプライドが高い
・対話ができず長尺のひとり語りを好む
・物への関心は高いが人への関心は低い
・勝ち負けへの執着が強い
・弱さを見せるの抵抗がある
・場の中心で、ちはほやされたい
・自己中心的

こういう方々は会話していて「あれ⁉ この人、男尊女卑?」と思える言動も少なくない。

僕が20代の頃に通っていたライタースクールの講師の方は、ほめるのが上手かった。

当時、その先生は50代だったと記憶しているが、愛妻家で誰にでも平等。おべっかは言わず本心で良いと思ったことをしっかり言葉にして伝える。

こちらのスクールからは、成果をあげる人がわんさか出た。

その前に、別のライタースクールで別の先生を師事したことがあった。こちらの先生は「THE昭和のおじさん」という人で、ほとんど人をほめていた記憶がない。お山の大将的なキャラで、終始「俺だけがえらい」というスタンスを崩さない。

生徒の書いた原稿を「こんなものはあかん」と床に投げ捨てたり、たまに「お前の原稿には価値がない」と目の前でビリっと破くことさえあった。

ちなみに、こちらの先生は人を洗脳するのが三度の飯よりも大好きなお方。あえて生徒にショックを与える傷つけ方をして自我を破壊。そのあと甘言で懐柔するという洗脳方法を繰り返していた。

僕は今、40代半ばに差し掛かろうという年齢だが、周囲を見ると孤独なおじさんとコミュニケーションがしっかりとれるおじさんに二極化している。

人とつながれるおじさんは
・人の話を聴ける
・人に関心がある
・愛嬌がある
・やわらかさがある
・弱さを見せられる

といった特徴がある。

先ほど挙げた「ほめるの苦手なのおじさん」の特徴を裏返したような感じだ。

世代的な特徴はあるが、30代の男性でもバリバリの男尊女卑で一方的にまくしたてるような話し方をする人が少なくないので、世代論だけではくくれないだろう。

富の二極化だけでなく、コミュニケーションの二極化も進んでいる実感がある。

「俺に合わせろ」というスタンスの偉そうなおじさんたちは孤立していき、対等な関係を築ける人はどんどん仲間を増やしていく。

偉そうにマウントを取る人間は、やはりどこへいこうと疎まれる。そのため年齢を重ね仕事を辞めたあと、社会的に孤立しやすい。

彼らは「会社でポジションがあるとき、周囲が我慢して合わせてくれているだけ」という事実に気づいていない。

以前、編プロの仕事をしていたとき、仕切っていた人からこんな指摘を受けたことがある。

こんな感じだった

「君の書いた原稿な。ここなんやけどなあ」

僕はこの時点で、ああダメ出しだろうなと予想していた。

しかし、その続きが

「悪くはなかったで。うん、全然悪くはなかった。また書いてな」

というものだった。どうやら彼は一生懸命、僕をほめようとしていたものの、そのやり方がわからないらしい。

僭越ながら、必死にほめようとしているその様子に愛嬌を感じたが(笑)、きっとそれまでの人生で人をほめることをしてこなかったのだろう。

アドラーは「人を褒めるな」とほめることを禁止しているそうだが、モチベーションアップや円滑なコミュニケーションのためにも、心から良いと感じたとき具体的な言葉で伝えた方がいい。


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