腰痛で温まる

腰痛が悪化した。
20代にも関わらず腰痛になることがよくある。
今年の6月頃だったと思う。
朝起き上がることすらままならないほどの腰痛に襲われて、病院に行った。
その時は、腰部椎間板症(多分)と診断された。

しばらくコルセットをしたり薬を飲んだりリハビリをしたりと色々試みるうちに痛みがほとんどなくなったので、治療をやめていた。

11月中旬頃、今年で2回目のレントゲンを撮る。

最初はいきなりリハビリをしてもらおうと思ったのだけれど、久しぶりだから診察が必要と言われてしまった。
レントゲンを撮ってもきっと前回と同じだし、あまり意味ないのではないか、と思っていた。
案の定、診断は同じで、前回と同じように痛み止めの注射を打ってもらった。
診察をしてもらった日は受付終了の5分前に駆け込んだこともあり、リハビリをすることができなかった。

夜6時以降は夜間料金が加算されるらしい。
必死になって働いて、多くお金を取られるのかと、なんだか悲しくなった。

次の日、4ヶ月ぶりのリハビリをしに、同じ病院へ向かった。

リハビリでは仰向けになり腰のあたりに器具をつけて、機械に身体を引っ張られる。
腰まわりが温められる。

リハビリ中は特にすることもないので、天井をみてただぼーっとしている。

しばらくすると、リハビリの先生のやさしい声が聞こえてきた。
僕に向けられたものではない。
おそらく5.6歳くらいの女の子と一般におじさんと言われるくらいの年齢であろう男の人が会話をしていた。

「今日は保育園の帰り?」
「うん」

女の子の声が小さくてすべては聞こえてこない。

「寝る前にお父さんの顔は見られるんだね。」
「パパはいつも寝る前に絵本を読んでくれる。」
「どんな絵本なの?」
「栄養素についての絵本」
「へえ、賢いんだね。」
「野菜は食べられるの?」
「うん」
「苦手なものないんだね。すごい。」
「パプリカが苦手だよ。」
「パプリカかぁ。赤いのとか、黄色いのだね。ピーマンは食べられるの。」
「ピーマンは大丈夫」
「それはすごいね。僕は大人になるまで苦くて食べられなかったよ。」

リハビリの先生は穏やかな口調で淡々と会話のラリーを続けていた。
リハビリを不安に思う子どもへの思いやりなのか、同じくらいの娘がいるからなのか、理由は分からないけど優しさが伝わる柔らかい声だった。

リハビリ中に会話なんてなくてもいい。
別にやらなくてもいいことだけど、何らかの思いやりで自然と生まれる会話。
聞いていて心地よかった。

相変わらず腰は温まり、機械に引っ張られている。

今日は心も少しだけ、温まった気がした。

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